おれのおばさん

著者 :
  • 集英社 (2010年6月4日発売)
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東京の難関中学・開聖学園に入学して間もないGWあけ。高見陽介の日常はガラリと変わった。
父親が会社の金を横領(愛人にマンションを貢いだ)して逮捕されたのだ。家や家財道具、貯金の多くが差し押さえられる。学校は退学、北海道に住む母の姉の所に陽介だけ身を寄せる事となった。それまで優雅に専業主婦をしてきた母は東京に戻り、弁護士との話をしたり、借金返済のため住み込みで働く事になった。

母の姉、おれのおばさんは、
魴鮄舎(HOBO=SHA)という児童養護施設を切盛りしている。普通の児童養護施設であぶれた中学生たち(おれを含めて)男子8人女子6人が暮らしている。
普通の施設からあぶれた者たち・・・ではあるかもしれないが、迫力満点、肝っ玉母ちゃん的に押しの強いおばさんのもと、みんな平穏に暮らしている。
陽介は学力を落とさないよう、それまでと変わらないスタイルで勉強をし、施設にすむ同級生・拓也とも友情を深めてゆく。

突然の事に嘆く暇もなく、支えてくれるであろう大人や友人たちだって、いろんな事情があり、
でもみんな生きている。

主人公が賢く、冷静に事実を受け止め、それでも自分のスタイルを貫いているのがいい。そして、まわりの人に思いやれるのがいい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: YA・大人の文学
感想投稿日 : 2015年8月7日
読了日 : 2015年8月7日
本棚登録日 : 2015年8月7日

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