スティグリッツ教授の経済教室―グローバル経済のトピックスを読み解く

  • ダイヤモンド社 (2007年10月19日発売)
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2001年「情報の経済学」構築によりノーベル賞受賞、現コロンビア大学教授のスティグリッツ教授が、ダイヤモンドに寄稿した2003年から2007年にかけての記事をまとめたもの。
2010年現在から過去を振り返りその様相を眺めつつ、ここでとりあげられたトピックスが今なお議論の最中であり、読み返す意義あり。

こういう本に書いてあるようなマクロな視点って、自分の仕事について考えるときに、眼を通すと良いと思う。自分の仕事と世界の繋がり、なんて想像してみてはいかが?

教授の基本的な価値観は「民主主義」と「社会正義」であり、情報を整理し参加意識の高い市民の育成をしようとする使命感、地球環境維持や貧困の削減追求といったものへの正義感にあふれており、必要ならば相手が世界の最高権力者でも闘う賢人と思慮しました。

内容そのものについて、批評的な読み方ができるほど知識がないので恐縮ですが、とりあえず、頭の中にメモしたキーワードは以下のとおり

■中央銀行はえてしてマネタリズムで「インフレ抑制」だけ考えがち。だがこれは論拠はなくイデオロギーにすぎない。
■ポピュリストが人気があるのはテクノクラートが知らない何かを知っているからかも、と考えてみるべし
■アメリカ貿易赤字について米政府は過去に日本、今は中国を責任転嫁しようとしているが、それは間違い
■世界銀行、IMFのトップの決め方は、国籍問わないべき
■定言命法はない。勝者と敗者、アメとムチは存在。全体としてパレート優越のバランスを目指せ
■ロシア新財閥に課税を!
■「長期的には我々は皆死んでいる」byケインズ。限られた時間の中で結果を求めるプラグマティズムという視点で政策をチェックせよ
■年金民営化は無駄。政府が管理できるお金を外に出すだけ。しかもコストは増える。民営化=高額な雇用費用利益確保などのコストがかかる。
■腐敗した国家は開発の妨げになる。世界銀行といった経済ファンクションでも、政治的要素への介入は不可欠
■過去、対外援助は友好を買うものだった・・・。対外援助には多面的(お金だけでない)投資・活動がセットでないと無駄になる。関税廃止の言葉の罠に気をつけろ!
■グリーンスパン神聖化はおかしい。中央銀行独立、という第三者的立場、客観的立場、ということで彼の行った定言(ブッシュ政権下の減税)がもたらした悲劇。実は中央銀行は独立してない?!
■アメリカがやってきた二国間貿易協定はNG。多角的貿易体制をは買いしてはならない。
■中国は持続可能な成長を維持するために自身が変わらなければならないことを理解し、政策をたてている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: グローバルリーダーになる!
感想投稿日 : 2010年3月19日
読了日 : 2010年3月19日
本棚登録日 : 2010年3月19日

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