昭和15年。日本は戦争への道を歩み始めていた。国民の娯楽である演劇は規制され、警察で台本の検閲を受けなければ上演できない。そんな時代に、生まれて一度も心の底から笑ったことがない検閲官・向坂睦男と、劇団『笑の大学』座付作家・椿一が警視庁の取調室で出会う。
「笑い」に理解のない向坂は「このご時世に、低俗な喜劇など不謹慎であり上演する必要はない」と考えているため、『笑の大学』を上演中止に持ち込むべく、椿の台本に対して「笑い」を排除するような無理難題を課していく。椿は何としても上演許可を貰うため、向坂の要求を飲みながらもさらに「笑い」を増やす抜け道を必死に考え、一晩かけて書き直していく。向坂の検閲、椿の書き直し。そんな毎日が続くうち、いつしか向坂も「台本直し」に夢中になる。
ようやく台本は完成するが、その際に椿が告白したある一言で一転、向坂は権力の末端である自身の職責を忘れていたことに気付く。向坂は改めて椿の台本に対し、最大の無理難題を課す。時を同じくしてその晩、椿に召集令状が届く。もう『笑の大学』の幕が開くことはないと悟った椿は、一睡もせず無心で最後の書き直しを行うのだった。
確かおもしろかった
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- 感想投稿日 : 2014年8月2日
- 本棚登録日 : 2010年1月4日
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