著者が1980~2000年にわたって発表した論文。幅広いテーマについて、その変遷(≒歴史)を考察している。地域を欧州のみに限定しているが、少なくとも19世紀までは欧州がその中心と考えるならば、その変遷をたどるのには妥当な選択だと思う。また、価値観のダイナミックな転換がなされた地域という点でも欧州が選択されるのは当然かも知れない。
書かれたタイミングもテーマもバラバラな論文をまとめているが、それらの並べ方は非常に上手い。「神話」・「宇宙」・「自然」そして「個人」という流れでマクロからミクロへと視点を移した後、「奴隷」・「身体変工」・「医術」という何らかの形で個人を縛るものへと視点を移す。その後は「倉庫」・「口伝」・「科学」・「美術」というモノと情報の蓄積に関すること、そして「法」・「王権」という社会構造を土台に蓄積したモノ、情報が「教養」・「知の繋がり」としてどのような変遷を辿ったか、そして最後に「グローバリゼーション」について触れることで総括としている。広範な話題を論じることのできる知識量もさることながら、編纂の上手さもすばらしい。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2015年10月24日
- 読了日 : 2015年10月24日
- 本棚登録日 : 2015年10月24日
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