二次大戦中に起きた出来事についての戦後の感情的対立は、法的には解決済みとされた後でも、日本に対する不信感や偏見の根拠となっている。
本書ではそれらのわだかまりを、未来のために、いかに解決していくべきか
敗戦国の日独が戦後選んだ異なる道、日英の和解例、そして、日中和解の可能性などについて触れながら、語られている。
筆者の選び抜かれた慎重な言葉が、
今の殺伐とした東アジアの空気に、無力に響くなあ、と思う。
優等生的で、相手を強く批判するトーンではなくて、
こういう感性って最近は流行らないんだろうな、と思う。
この本が出て10年、状況はずっと悪化してしまったと思う。
このトーンに、日本人が聞き飽きて、バックラッシュが起きてるのかもしれない。
「過去に根ざした感情対立の解決としての戦後和解のエッセンスは、
未来の平和と友好とを担保にした高邁な妥協である」
空襲や原爆投下などの戦争犯罪を不問にしながら欧米戦勝国によって一方的に裁かれた東京裁判の
あまりのいい加減さ、日本にとっては屈辱以外の何者でもない。
その屈辱が一部政治家たちの勘違いされかねない安易で過激な発言と、
首相の靖国神社参拝を後押ししているのだと思う。
中・韓の屈辱とは、まあ、言わずもがなだろう。
すべての国の屈辱が早く晴れればいい。
そのための「高邁な妥協」をそれぞれが出来るかどうか、
道は果てしなく長いと思うけれど(とりわけ相手が思うようにいかないという意味で)
日本と、アジアの国の傷つけられたプライドが癒されてほしいし
なんとか各国のメンツを立てる方法を探していきたいと思う。
- 感想投稿日 : 2014年8月3日
- 読了日 : 2014年7月31日
- 本棚登録日 : 2014年7月16日
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