多数決を疑う 社会的選択理論とは何か (岩波新書)

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  • 岩波書店 (2015年4月21日発売)
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「自分のことを自分で決めさせろという希求は、自分のことは自分で決められるはずだとういう期待に基づいている。この期待はそれが自分に可能だという、希望の発露の一種である。
こうした意思を「自分」でなく、「自分たち」に適用したとき、それは民主制を求める思考の基盤となる。」
社会選択理論のごく基礎的なところを紹介。多数決の欠点から始まり、代替案としてのボルダルールやコンドルセ・ヤングの最尤法を検討。さらにルソーの一般意志やアローの不可能性定理、メカニズムデザインなど、民主制にかかる基礎的概念から民主制を実現する技術論までを考察する。
民主主義に多少なりとも関心があるなら当然知っているよね、という最低限のものでとくに目新しさはない。しかし、最低限であるからこそ、その価値があるとも言える。本書を読んでから日本の政治・選挙を振り返れば、政治家も有権者もいかに最低限すら理解できていないかがよくわかる。せめて最低限くらいは理解すること、民主主義の恩恵を享受する者の責務だと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2016年3月6日
読了日 : 2016年3月6日
本棚登録日 : 2016年3月6日

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