決して難しい言葉を使わず、洒落た文体でもないが、心に沁みてくる珠玉の言葉。誠実で心にあたたかく語りかけてくれる、そんなエッセイ集。
「寒青」という言葉は、健さんが好きな言葉で“そんな風に生きていけたら”という想いがあるとのこと。「冬の松」という意味の言葉だけど、この章を読んだだけでも、今では失われつつある、美しい日本人の生き方・男の生き方が象徴されていると思う。
健さんが出演した映画エピソードの中には、故大滝秀治さんにまつわるものもある。健さんが観て感動した映画の数々、その映画に惹かれた理由が綴られ、年齢を重ねても失われない、瑞々しい感性と謙虚さで前向きな姿勢に、心を打たれる。物事や人を見る眼、相手の言葉と態度を受け取る眼が歪んでいない、純真で素直な少年か青年のような魂を持ったままの男性のように感じられた。映画の話だけではなく、健さんのお父様のこと、プライベートで親交がある方々のことなど、どのエッセイや対談も、心に響いた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エッセイ
- 感想投稿日 : 2015年3月10日
- 読了日 : 2015年2月16日
- 本棚登録日 : 2015年2月16日
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