クーポンマダムの事件メモ (ハヤカワ・ミステリ文庫 マ 13-3 my perfume)

  • 早川書房 (2015年12月18日発売)
2.56
  • (0)
  • (0)
  • (6)
  • (2)
  • (1)
本棚登録 : 22
感想 : 6
3

ハヤカワが昭和女子大とコラボしたシリーズの1冊です。

「クーポンマダム」・・・クーポンと、マダムですよ! 
不釣り合いなことこの上ない二つの単語が、主人公を充分に表しています。

主人公マディはセレブ奥様。夫は地元の名士、人気テレビ番組の司会者。悠々自適の生活だったのに、その夫が破産!! えーー、ファイナンシャル番組の司会者なのに?!
体面と生活を保つために、彼女はクーポン片手にバーゲンを駆け巡り、人気ブロガー「クーポンマダム」となったのだ!!

そして、事件に出くわす、と。(でないとお話にならない。)

面白そうでしょう?

しかし、この本、すっごく読みにくかったです。
とにかく、チャカチャカしている。
あんまりこんな表現は使いたくないけれど、もうなんというか「散らかっている」を通り越して、チャカチャカ。
シリーズものの1冊目というのは、作者も話もどうしてもアイドリング状態になるようで、散らかった、読みにくいものになりがちですが、 それにしても激しすぎます。

主婦の仕事、セレブの仕事、ブロガーとしての仕事、実際一人の人間がするときには、同時進行で色々やらなくてはならないでしょう。
しかし、文章一段落の中でそれを全部やりきるのはどうでしょうか?
原文がそうなのか、翻訳がそうなのか、両方がそうなのかわかりませんが、もうちょっとなんとかしてほしいです。

その上、登場人物が多い。家族、ショッピングモール、友人・・・いっぱい出てくるのに、人物紹介が不親切! みんなが頼りにしている、あの本の折り返しにある紹介が、たった数人!
これは1冊の本としては不親切だし、なによりミステリーなら致命的なミスでしょう。(理由はミステリー好きにはわかるはず。)

「人物紹介があんまり多いと、難しい本だと思っちゃうから・・・」とか、変な勘違いでもしましたか?

「マダム」が主人公のこの話を、女子大生はどう読んだのだろうかと、巻末の彼女らの対談を楽しみにしていたのですが、まったくもって、期待外れでした。

ぽーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっとした会話、いや会話ともよべない、なんにもないものが、ただ、羅列されているだけ。

おもろないねん。

最近の女子大生は・・なんて言いません。同じシリーズの『ケチャップ・シンドローム』はこのページも興味深いものでしたから。 

なんか、残念な感じですが、読後に自分でも驚きました。

2冊目も読みたいと思ったのです。

5分の2をすぎたころから、話のテーマが定まってきたからでしょう、読みやすくなってきました。さらに、ラスト近くになると、脇目もふらず読んでいました。 面白かったんです。
ミステリー部分が「わお、アメリカ的!」と感じたのも理由でしょうか。

巻末の、2冊目のあらすじを見るに、1冊目よりさらに面白そうです。
アメリカでは3巻まで出ているそうです。

願わくば、2冊目以降が、もうちょっと読みやすいものでありますように!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年1月24日
読了日 : 2016年1月24日
本棚登録日 : 2015年12月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする