白川静氏の漢字に対する情熱にはいつも驚きますね。この本では、「正」が足を意味する「止」の上に城を意味する一(元は□)が乗っている文字で、城に向かって進軍し、征服する意味であったとは全く気がつきませんでした。そして度々登場する「口」がクチではなく、神への祈りの文である祝詞を入れる「器」だということを解明したところに白川氏の功績があるというのは素晴らしい発見だったわけですね。手、犬、目、臣、矢、其、衣、羊などがいずれも宗教的な意味を持っていたというのもおどろおどろしいものを感じました。「義」の意味がキリスト教に通じるものであることは前々から感じていたことですが、そのことについての言及がなく、それがむしろ世界的に常識であることは嬉しいことです。著者が何度か書いていたように、文字の興りを小学校で教えてくれれば、字も覚えやすいし、故事を知る機会にもなったと思います。変な字と思っていた多くの字がなーるほどと思えてきました。そして戦後、当用漢字にした際の簡略文字が訳が分からなくなったということもその通り、突・臭・戻・器は実は大ではなく犬、顔は立ではなく文でないと、また應は応では、雙が双では、本来の意味が分からないなども全く納得でした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本語
- 感想投稿日 : 2013年8月18日
- 読了日 : 2007年9月20日
- 本棚登録日 : 2013年8月18日
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