レビュー by korokorokorosukeさん
新宗教についての一般教養として、なかなか面白い本で、スムーズに読了できた。
普通の人は、お葬式は仏教、結婚式はキリスト教、正月は神社と、あまり宗教に興味を持たないで儀式として受け入れている。一部の熱心な信者以外は宗教についての知識はあまり持たない。それらの熱心な信者であっても、全体の宗教の体系的な知識を持っているわけではない。
本書は、わが国の主要な新宗教10教団を選んで、その開祖や教団の成り立ち、主要な教えの性格等をあきらかにしている。これは、さほど宗教に興味がない人間にも、現代社会の一般教養として必要な知識ではないだろうかと感じた。
高橋和巳の小説「邪宗門」のモデルとなった「大本教」。小説と本体は当然違うにもかかわらず、小説イメージによって高い評価を得ているとは驚きである。
高度成長と都市化に適応して大きく勢力を伸ばした教団に立正佼成会と創価学会がある。高度成長の中で田舎から都市部に出てきたバラバラになった若者を、立正佼成会では10~20人が車座になって話し合う「法座」、創価学会では「座談会」で組織したことは興味深い。人々は故郷を出ることで失った共同体を都会で得たのだろう。
インナートリップの霊友会は聞いたことがあったが、その路線を敷いたのが、東京大学の印度哲学科の博士過程を卒業したインテリだった2代会長の久保継成であるというのも興味深い。
PL教団についても甲子園常連校以外の知識はなかったが、前身の「人の道教団」が戦前に100万人の信者を持つ教団で軍国日本から大弾圧を受けるなどの驚くべき歴史も明らかにされている。そういえば戦前には多くの宗教団体が治安維持法によって弾圧されていることを思い起こした。
著者は、「新宗教が勢力を拡大するのは、社会が混乱した状況や過渡期にあるときで、その点で現在の状況は違う」といっているが、現在の社会状況は時代の過渡期であリ、いつ混乱がおきてもふしぎはない状況ではないだろうか。かつてオウムが世を騒がしたように、いつどんな新宗教が勃興するかわからないと思う。
本書は、新宗教と教団についての基礎的な教養知識として読んでよかったと思わせる本であると思う。
レビュー登録日 : 2011年10月01日
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