盲目的な恋と友情

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著者 : 辻村深月
koshoujiさん 辻村 深月   読み終わった 

さあ、どっちだ、どっちだ??
最後に感動の涙を流させてくれる講談社路線か?
はたまた、じめじめとした女の嫌らしさを描いた文藝春秋路線か?
といっても、これは実際には新潮社の発行物だけどね------。

ということで読み始めた辻村深月の書き下ろし最新作。

冒頭
あの人が死んでしまったら、とても生きていけないと思った、あの幸せの絶頂の一日から六年が経ち、あの人は死んでしまったのに、私は、まだ、生きている。

大学のオーケストラに定期的に指導にやってくる指揮者たち。
彼らは女子大生の憧れの的であり、団員の誰とでも付き合える別格の存在だった。
なかでも、元タカラジェンヌの娘蘭花の前に現れた茂実星近は完璧な外見を擁していた。
主人公蘭花と茂実の盲目的な恋、蘭花の周りを彩る留利絵と美波との複雑な友人関係。
登場人物が個性的で、しかも内面のドロドロというよりも、それを遥かに超えたズブズブの底なし沼のような感性の描き方が、まるで湊かなえの作品であるかのような感覚を覚えた。

作者辻村深月自身の言によれば、最近の作品は“”白辻村“と黒辻村”があるという。
デビュー当時から、ベタでもハッピーエンドを書き続けると言っていた作品群は白辻村、最近の、女性の内面をどこまでも深く描く、私にしてみれば読後感のあまり良くない作品群は黒辻村のようだ。
この作品は明らかに黒辻村。
だから、読み終わって、がっかりでした。
私が彼女に求めているのは、あくまでも前半は様々な伏線を張り巡らせ、終盤見事にそれを回収して感動の涙を流させてくれる白辻村作品だからだ。

ということで、驚愕のラスト、異性への恋と同性との友情の並列的比較という問題提起で話としては面白かったのだが(さらには装丁も素敵だった)、彼女に期待していた作品ではないので、評価は3。
今年はデビュー十周年記念ということで、あと二冊今年中に発刊されるらしいので、できればどちらも白辻村作品であることを心の底から願うばかりだ。
“スロウハイツ”や“名前探し”を超える作品の誕生を期待したい。

でも、辻村さん自身の作品に向かう考え方が変わってきているようなので、あれ以上の感動に再遇するのはもう無理なのかもしれん。
人間って十年で全く変わってしまうんだね。悲しい。

レビュー投稿日
2014年6月19日
読了日
2014年6月9日
本棚登録日
2014年6月9日
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