この本はものすごく面白い。
毎年毎年、日本で一番東大へ数多くの合格者を送り出している私学の名門開成高校。
その野球部に関する話なのだが、部に所属する生徒たちにインタビューをすると、ほとんどの生徒が何でもかんでも論理的に説明しようとする。
その論理的思考によって捉えられる野球論は、時としておかしな方向に進んでいく。
超論理的で、逆に素直すぎて融通が利かない頭の良い子供たち。
はたしてこんな子たちが東大へ行き社会に出て形成される将来の日本は大丈夫だろうか? と不安にもなる。
医者、弁護士、あるいは役人などには向いているだろうが、政治家や企業のトップには不向きだ。
彼らも自覚しているらしく、将来の希望を尋ねると医者や研究者などという答えが返ってくる。
おそらく開成出身で国家を動かしている人間は数少ないのではないだろうか。
そういう思いを抱く書でもある。
筆者の高橋秀実氏は、開成高校の生徒たちの裸の姿を見事に描き出している。
彼らと筆者との言葉のやり取りは、まるで異次元の会話のようで、時として笑いを誘う。
でも、彼らはふざけているわけではない。純粋に対峙しているのだ。
その方向性が常人と少し変わったアプローチの仕方だとしても。
今どきの頭の良い、日本最高峰の偏差値を持った高校生がどんな考えをしているのかを紐解くのにも最適の書でもある。
なかなか鋭い抉り方をしているので、興味のある方は是非。
おすすめです。
最後に:この中に登場する長江豊君が、東大に合格し、野球部で活躍してくれることを切に願うばかりである。
- 感想投稿日 : 2013年11月3日
- 読了日 : 2013年11月3日
- 本棚登録日 : 2013年11月3日
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