冒頭───
穴山浩輔は寸胴鍋から豚のバラ肉とたまねぎを甘辛く煮込んだものを、お玉で掬い取った。汁もいっしょにだ。それらをあらかじめコンロに載せてある小さな鍋へ移す。右手でお玉を寸胴鍋に戻し、左手でコンロのスイッチを入れた。家庭用のとそう大きさは変わらないが、火力は強い。
1,2,3,4,5.口の中で数える。そのあいだに寸胴鍋とは反対側のスペースにある蓋とお椀を手に取った。お椀の中には殻を割ってだしておいた卵が入っている。すでに箸でかき回した状態だ。
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豚肉と卵を使った他人丼ならぬ友々丼をチェーン展開する、友々家の店長たちや社長、会長などのエピソードを綴った連作短編集。
全体的にほのぼのとした物語だが、最後の二編、社長が店員経験をする話と創業者である社長の母親の会長が回顧する話はには、ちょっとほろっとさせられる。
山本幸久氏独特の軽く読めて心がほっこりするような作品です。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
山本 幸久
- 感想投稿日 : 2014年12月9日
- 読了日 : 2014年12月9日
- 本棚登録日 : 2014年12月2日
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コメント 2件
杜のうさこさんのコメント
2015/09/20
koshoujiさんのコメント
2015/09/20