物語には、常に『説得力』が必要だ。理不尽を扱うホラーといえどその例外ではなく、「理不尽が必然な世界であること」への説得力があって然るべきで、少なくともそこに文章力の幾らかを傾けられるべきだと、そうぼくは思う。この『首ざぶとん』にはそれが欠如している。具体的に言うなら龍彦浅すぎ。ただの怪談好きでちょっと浮世離れしたレベルでマイペースな兄ちゃんが、なんで探偵役を務められちゃうんだよう。ってな具合で、表題作の途中まではいい具合に慄然とさせてくれていたので、以降の期待外れっぷりにはなおのこと不満が残った。
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- 感想投稿日 : 2013年9月5日
- 読了日 : 2012年6月9日
- 本棚登録日 : 2013年9月5日
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