ニュー・シネマ・パラダイス SUPER HI-BIT EDITION [DVD]

監督 : ジュゼッペ・トルナトーレ 
出演 : フィリップ・ノワレ  サルヴァトーレ・カシオ  マリオ・レオナルディ  ジャック・ペラン  アニエーゼ・ナーノ  ブリジット・フォッセー 
  • アスミック・エース (2012年3月23日発売)
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感想 : 33
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父を知らずに育った無邪気で愛くるしいトト少年と、ぶっきらぼうだけど愛情深い映写技師アルフレードの
親子の関係にも似た深く優しい友情を描く。

モノもカネも情報もなかった替りに、人間臭さが充満していた時代。
映画が唯一の娯楽だった時代。
人々は喜劇に笑い転げ、メロドラマに泣き、映画を心から愛していた。
暗闇でこっそりタバコを吹かす子供たち、酒瓶片手の酔っ払い、セリフを覚えて先に言っちゃう親父、
銃撃シーンで自分が撃たれたと勘違いしてショックで死んじゃった爺さん、
上映中にオナニーする少年や、おっぱじめるカップル、映画観ながら授乳しているお母さん。。。
人々はパラダイス座に集まっては、笑い、泣き、冒険に胸を躍らせ、恋に身を焦がす。
一歩外にでればそれぞれに人生がある。頭のいい奴も悪い奴も衝突しながら存在を認め合っていた。

一癖もふた癖もある映画館の常連たち、トトの成長と旅立ち、そしてアルフレードとの親子にも似た関係。
映画も、故郷も、そして古き良き時代も「まぼろし」に過ぎない。しかし、それはかけがえのない幻影なのだ。

アルフレードが今生の別れ際にトトへ伝えた数々のアドバイスが印象的だった。
「お前もいずれ判るだろうが、話すのも黙ってるのも同じことだ。黙ってるほうがいい。」
「そういう運命だったのだ。人にはそれぞれ従うべき星がある。」(意図せず音信不通となった彼女について)
「村を出ろ ここにいると自分が世界の中心だと感じる 何もかも不変だと感じる。
 だがここを出て2年もすると 何もかも変わっている。」
「一度村を出たら 長い年月 帰るな そうすれば懐かしい友達や土地に会える。」
「人生はお前が観た映画とは違う。人生はもっと困難なものだ。」
「行け お前は前途洋々だ 私は年老いた もうお前とは話さない お前の噂を聞きたい。」
「自分のすることを愛せ 子供のころ映写室を愛したように。」

エンニオ・モリコーネの美しく優しい楽曲に乗せて綴る 大いなる人間賛歌。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ドラマ
感想投稿日 : 2017年5月6日
読了日 : 2017年5月6日
本棚登録日 : 2017年5月6日

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