ドリアン・グレイの肖像 (光文社古典新訳文庫)

  • 光文社 (2006年12月7日発売)
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「ゴミみたいな美青年と、コミュ障の画家と、鬱陶しいホモの三角関係ね、要約すると」
それだけ言うと、紅子はバージニアエスに火を点けた。ゆっくりと煙を吸い、満足げに吐き出す。
「……始まる前から終わってそうなメンツですね、それ」
葉月はつい先ほど紅子に勧められた本を両手に持ち、その表紙をまじまじと見ていた。
「あー、そんな感じ。でも終わりは終わりでちゃんと終わってるから、ダブル終わりって感じだよね。意味分からないけど」
「何言ってんですか」
本を裏返し、裏表紙の紹介文に目を通す。
「ワイルドっていうと、サロメ的な萌えが最初に浮かぶんですけど」
「ああ、感覚は近いかも。退廃と不道徳は、破滅までまとめてパッケージングされて初めて、美意識と呼べる的な?」
「私はどっちかというと、幸福の王子のようなシンプルなハッピーエンドが本質で、そのパッケージはちょっとばかし捻くれた裏返しのような気もするんですけどね」
とりあえずこれは借りていきます、と、葉月は本を鞄に入れた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説:作者わ行
感想投稿日 : 2014年11月19日
読了日 : 2014年11月18日
本棚登録日 : 2014年11月11日

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