少し詰め込み過ぎかな、という印象。
江戸時代初期、第二代将軍秀忠から第三代家光へ権力が移行する時代の徳川直轄領 長崎を舞台とした物語。海外貿易で富を築いてきた代官 末次家のあとを継いだ平左衛門が、長崎奉行として横暴の限りをつくす竹中を失脚に追い込む 胸のすく勧善懲悪の物語が芯となるが、火消しの親方で平左衛門の幼馴染 才助や末次家の船大将 彌兵衛、蠟型鋳物師などの挿話が盛り込まれている。
あの時代の長崎の様子が興味深い。これ程海外と貿易をしていたなんて知らなかったし、利権を巡って様々な国が入り乱れて小競り合いをしていたなんて、驚きだった。先に読んだ「出星前夜」との対比も面白かった。
ただ、一つ一つの挿話をもう少し整理した方が読みやすいのではないかと思った。船大将の話や鋳物師の話は、それだけで独立した短編・中編として成立すると思う。鋳物師がその後どうなったのかも気になった(あのまま果てたのか、果てるとき彼は何を思ったのか…)。
踏み潰されても逞しく生きる市井の人々の姿や心の勁さに、感銘を受けた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
時代もの
- 感想投稿日 : 2013年2月25日
- 読了日 : 2013年2月25日
- 本棚登録日 : 2012年11月18日
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