鈴の神さま

著者 :
  • ポプラ社 (2012年7月13日発売)
4.11
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本棚登録 : 395
感想 : 96
5

表紙絵の、鈴の上にちょこんと座った着物姿のちっこい男の子とウサギがかわいくて、手に取りじっと見ると抱え込んでいるのはポテチの袋。
いやーん、かわいいーーっ♪
しかも帯には「四国ののどかな田園を舞台に」とある。
四国大好き♪特に香川と高知はそれぞれ必ず年に数度行く。
これは読まなきゃー!とページを開く前からウキウキ。

ピアノの国際コンクール初出場を目前にケガをした冬弥(とうや)。
ケガ自体は軽いものだったが、ステージママ的な母親と諍いになり、最近クラシックに「懐疑的」な気持ちを抱いていた冬弥は思わずピアノをやめる!と言ってしまう。
父親(フィドラー)の提案で、しばらくピアノから離れて高野町にいる祖父(クラリネッティスト)のもとで春休みを過ごすことに。
そこで出会ったかわいい神さま。名前は安那(やすな)さま。

この安那さま、神さまだけれど特別な力はなく、鈴を守るというのがお役目。
大の甘いもの好きで、御付の楓殿に「ご飯が食べられなくなる」と怒られ、取り上げられてもこっそりお饅頭に手を伸ばそうとする――有り体に言うと、食い意地の張った神さま。
でもそれが、もう愛らしくて愛らしくて。
アイスクリームを「あと一匙、食べさせてたも……」と目をうるうるさせて見上げられたりしたら、楓殿に叱られてもまるっとひとつ食べさせてあげたくなる。
(おなか壊すのでダメです!)
安那さまと一緒に雛屋(ひよこや)の和菓子を食べたいなぁ。

連作短編集になっていて、5つのお話が収録。
「鈴の神さま」(1996年春)
「引き出しのビー玉」(1945年夏)
「ジッポと煙管」(1988年冬)
「秋桜」(2005年秋)
「十四年目の夏休み」(2010年夏)
時系列はばらばらだけれど、その時々の「見える」人と安那さまの交流が描かれる。

安那さまの無垢さ・愛らしさに、迷いや不安を抱えていた人は一歩を踏み出す元気をもらったり、幼い頃のやさしいふんわりとした思い出になったり。読んでいるこちらも心が温かくなる。
だけれど、どう見ても5歳くらいの安那さまの年齢が1000を軽く越えていることを思うと、出会った人たちとは違う時間の流れの中で暮らす安那さまが少しせつなくも感じる。

そして。
読み終わった後、あらためて表紙を眺め・・・
だめーっ!ポテチだめーーっ!!と叫んでしまったのでした(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: た行の作家(国内)
感想投稿日 : 2013年6月2日
読了日 : 2013年6月1日
本棚登録日 : 2013年6月2日

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コメント 10件

山本 あやさんのコメント
2013/06/03

[♥óܫò]∠♡九月猫さん

九月猫さん、こんにちはー♡

わぁ、四国にピアノに付喪神!!!
香月さんと畠中さんの世界が混じったようで
もぅぅぅ、期待がぱっつんぱっんに![笑]

装丁がまたステキですね~[*´▽`*]
連作短編も大好きだから、ぜひぜひ積読山に
お仲間入りしてもらいます。

かわいい神様楽しみです~♡

九月猫さんのコメント
2013/06/03

あやさん、こんにっちはー♪

そうなんです!
読んでいて香月さんの「桜大」たちの住む黒沼村を
思い出しました。
時代が変わって、町も変わっているはずなのだけれど、
変化はとてもゆっくりで、住んでいる人たちの温かさは
安那さまのように変わらなくて、本当にステキなんです。
なによりほんっっとうーっに安那さまがかわいいんですよ(*>ω<)o
あ、安那さまは付喪神ではなくて、小さいお社に祀られた神さまです。
わたしの書き方がわかりにくくてごめんなさいm(_ _;)m

ということで(えっ?)、
あやさんもぜひ積んでください(笑)
で、読んだらば。
もしモデルになった高野町にお心当たりがあれば教えてくださいね!
香川で一番好きなお饅頭「観音寺」を持って
鈴守さんにお参りに行きます(*^-^*)~♪

追伸:
畠中さんのしゃばけシリーズ、
銀バラの次に再読予定だったので、名前が出てビックリ(笑)

山本 あやさんのコメント
2013/06/04

九月猫さん、こんにちはー♡

安那さまはお社に祀られた神さまなんですねーっ。
早とちりしてしまってごめんなさいっ。
お社に祀られた…と聞くと切なさがそこはかとなく…ですね[´iωi`]
でも、とってもステキなお話なんだろうなぁ~♡って
すっごく楽しみですっ♪

モデルの町、見つけられるといいなぁ~♡
そうかなぁ~?ってとこがあればぜひぜひ報告しますねっ!
「観音寺饅頭」初耳でぐぐってみたらおいしそうーっ!
観音寺からかなり離れた高松市に住んでるので
そっちの方向のことをほとんど知らなくて。
今度ぜひワタシも買ってみますー♡

でででっ、しゃばけシリーズ!!!!!!!
きゃーーーー、ワタシも大っ好きです~。
若旦那と妖怪や付喪神さんたちの関係やお話も
ほんっとおもしろくて優しくていいですよねーっ。
最新刊のあたりは購入したまま積読してるので
ワタシもマンガが終わってから、しゃばけシリーズを
読むの楽しみなんです~♡

九月猫さんのしゃばけ再読日和が読めるの楽しみにしてます[*Ü*]♡
ドラマ版もまたぜひ新しく撮影してほしいですねー。
映画でもいいから見たいっっっ♡

九月猫さんのコメント
2013/06/04

あやさん、こんにちは~♪

お話の舞台・高野町は、地名だけ高松や坂出が出てくるので
香川かなと思うんですー♪
山や川に囲まれているので徳島との県境あたりかしら、とか
いろいろ想像して脳内ロケしています(* ̄∇ ̄*)

白栄堂さんの「観音寺」!おいしいですよ~っ(*>ω<)o
香川は、こんぴらさんへのお参りと香の香のおうどんが主な目的ですが、
観音寺まで足を伸ばして必ずお饅頭買いに行きます。
どんだけ食い意地が張ってるんだか(笑)
灸まんと、かまどと、金長まんじゅう(これは徳島銘菓ですが)も
必ず買って帰ります。どんだけ食い意地が(ry
他におススメのお菓子があったら、ぜひ教えてくださいっっ!!

「しゃばけ」舞台にもなってましたね、今年。
好きな役者さんが白沢だったので観たかったのですが、
GW明けなんてムリっ!とあきらめました。
しかしかなり原作とはベツモノになっていたようで・・・
そもそも若旦那が40代って・・・元気じゃないか(笑)
手越クンも健康的な感じだけれど、ドラマは好きでしたーっ!
もっと見たかったのに、2作しかドラマ化されてませんよね(´・ω・`)

「しゃばけ」は文庫で半分くらい積んでいて、
既読本もよい感じに忘れているので新鮮な気持ちで読めそうです(笑)
あやさんの「しゃばけ」レビューも楽しみにしています~っ♪

macamiさんのコメント
2013/06/18

九月猫さん、こんにちは。
安那どの、かわいいですよね♡

>アイスクリームを「あと一匙、食べさせてたも……」と目をうるうるさせて見上げられたりしたら、楓殿に叱られてもまるっとひとつ食べさせてあげたくなる。

本当です。(笑)
ぽかぽか叩かれたりしたら、もう負けそうになりますよね・・・^^

語り尽くせないほど愛らしくて
わたしもどこかでひょこっと会いたいと心から思います。

雛屋のお菓子もおいしそうですし
安那どのといっしょに行きたいし
というよりわたしも仲間にはいりたい!

九月猫さん、香川と高知に年に何度も行かれるのですね。
なんだか素敵。観音寺がすごく気になります♪

九月猫さんのコメント
2013/06/18

macamiさん、こんにちは♪

コメントありがとうございます。

ねえぇ、ほんとうに安那さまかわいいですよねっ!!
もうメロメロ~です(* ̄∇ ̄*)
続編書いてくださらないかなぁ、とひそかに願っています。

macamiさんのレビューで知った「妖国の剣士」も気になっているので
近いうちに読もうと思ってます♪

あっ、観音寺まんじゅうおいしいですよ(*^ー゚)b
安那さまに負けないくらい食い意地が張っているので、
いろんなところでいろんなお菓子を買うのが
趣味のひとつになってしまっています(笑)
おいしいお菓子、ご存知だったら教えてくださいね(*´∀`)ノ

macamiさんのコメント
2013/07/18

九月猫さん、こんにちは^^

観音寺まんじゅうって洋菓子的和菓子、みたいな感じなのですねえ。
勝手に昔ながらのおまんじゅうを想像していました。
ネットで見たのですが、ちょっと他にないような感じで
もしも見かけたらぜったい買おうと気合がはいりました。


おいしいお菓子の話をしようと思ったのですが
いざとなると思い浮かばず・・・
はじめて食べたときに驚くほどおいしかったのが阿闍梨餅です。(これだけ思い浮かんだ・・・苦笑)
会社で食べたのですが、そのとき隣の課の課長も気に入って
その後京都から来るという人に
「阿闍梨餅食べたい」とリクエストしていました。
(なんとあつかましい、と思いながらわたしもおこぼれにあずかりました・・・)

続編、わたしも思ってます!
すごい読みたいですよね!!

九月猫さんのコメント
2013/07/19

macamiさん、こんばんは♪

そうなんです、観音寺まんじゅうって洋風のおまんじゅうなんです!
名前が“和”の雰囲気しかないので意外でしょう?

きゃー!阿闍梨餅!!
おいしいですよねーーっ!!わたしも大好きです(*´∇`*)
リクエストしてしまう課長さんの気持ち、わかります(笑)
年に数回京都に行くので、その度に取り扱いのあるデパートに寄るのですが、
長蛇の列に心が折れてあきらめたり(行列がニガテなのです;)、
「売り切れ」の看板に打ちひしがれたり、で、なかなか買えません。
京都もおいしいお菓子が多いですよね♪
ひそかに亀屋陸奥の「松風」のミミ(はじっこ)も大好きです。

知野みさきさんって、専業作家さんではないのですよね?
本業がお忙しいのかなぁ、新作のお話聞きませんね(´・ω・`)
「妖国の剣士」読みたいけれど、もう他に作品がないと思うと
もったいなくてなかなか読めません(^▽^;)

macamiさんのコメント
2013/07/20

九月猫さん、こんにちは^^

そうそう、和の雰囲気しかないですよね!
観音寺ってところがまさに。

九月猫さん、よく旅されるのですね♪
ステキ・・・
わたしはお菓子との出会いはいただいたりデパートで見つけたりしてという縁が多いので
九月猫さんみたいにその土地(本場)で手にしているなんて
憧れます。

阿闍梨餅も数年前からデパートに置かれるようになって
いまでは満月さんコーナーができています。
松風のミミなんてあるのですね!これも本場ならではでしょうか。

九月猫さん、詳しい!お菓子の話ができるのも
うれしいです☆

知野さんは兼業作家さんだと思います。
カナダで責任あるお仕事をされているらしいですよ。
新作、楽しみですよねえ・・・
今度はどんな話なのかなあ。
もったいなくて読めないという気持ち、わかります!
「鈴の神さま」を読み進めていくときに、後半で
「あとこれだけで終わってしまう(>_<)」と思いました。

九月猫さんのコメント
2013/07/20

macamiさん、こんばんは♪

デパ地下、わたしも好きです!住み着きたいくらい(笑)
(本屋さんにも住み着きたいですが♪)
最近は有名なお店なら、デパ地下とネットで調達できるので
便利になりましたよね。

阿闍梨餅、macamiさんはお近くのデパートで買えるのですか?!
うらやましーーいっ(≧д≦)
あれ、ほんとうにおいしいですよね。
うにーっというかもち~っとした食感が大好きです。
松風は正規の商品より、絶対ミミのほうがおいしいです!
ってお店の人に怒られてしまいそうですね(笑)

お菓子のお話できるの、わたしもとってもうれしいです(*´∇`*)

そうそう、わたしも「鈴の神さま」を読み終わりそうになったときに
「ああ、どうしよう!終わっちゃうっ!!」と思いました~!
ずっと高野町にいたい、安那さまと遊んでいたい、って
思ってしまうステキなお話でしたね♪

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