おおかみこどもの雨と雪(本編1枚+特典ディスクDVD1枚)

監督 : 細田守 
出演 : 宮崎あおい  大沢たかお  菅原文太  黒木華 
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感想 : 488
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劇場で観られず、ようやく観ることができた。

序盤の花とおおかみ男とのラブストーリーはもう少し見たかったな。
セリフなしで音楽と映像だけの演出は好き。
つわりで弱っている花に、雉を狩ってくるおおかみ男には「ワイルドだなぁ」と笑ってしまったのに、まさかそれが悲しい事態を引き起こすことにもなるとは。

一人で子育てする花が強すぎて(強くならざるをえなくて)切ない。

隣近所や児童相談所員の目を逃れ、こどもたちを少しでも伸び伸び育てるために、花は田舎に引っ越す。
廃屋のような家の修繕(屋根の修理まで!)や、荒れた庭の畑化など、花が頑張りすぎで途中でへばっちゃうんじゃないかと心配になる。

雨と雪は、小学校に通いだしてから同じ年頃のこどもたちを知ることで、心にいろいろな変化が起きる。
雪は語り手であるせいか、他の子たちとの違いを知り、女の子らしくなっていく過程がわかりやすく描かれているのだけど、雨のほうは、どういうことで他の子との違いを感じ、人間界で生きにくいと思ったのかがわからない。
「巣立ち」の気持ちが強くなったのは、そういう時期だったのか、「先生」に会ったからなのか。
雪とのとっくみあいのケンカが、まんま野生であまりの変わりように驚く。

しかし、せっかく「おおかみこども」なのに、なんで「どちらか」でないといけないんだろう。
雨が人間界で生きにくいと思った理由、「先生」の跡を継ぐのが自分だと思った理由、がわからず、自由に生きていけるはずの「おおかみ」を選んだ雨のほうが、不自由で狭い視野のように感じられた。
それまでの花の頑張りを見ているせいで、早い巣立ちというより親不孝だなぁ、と思ってしまったのは、わたしが母親ではないからだろうか。
母親である花は、最終的に雨の選択を受け入れ「しっかり生きて」と微笑んで見送る。
花さん、本当に強くて切なくなります……。

大雨の日の雪のほうのお話は好き。
そうちゃんが、ジブリに出てくる女の子を守る男の子、って感じでステキでした。

背景、特に田舎に越してからの緑がとてもきれいだった。
山の中や雪の原を駆けるときの映像が、おおかみこどもの目線で、すごく疾走感があってこれもよかった。

かわいらしいだけのお話ではなく、母親・こども両方の成長、こどもの自立と送り出す母親の心情、など、観終わった後にじんわりかみしめた。
突っ込みどころはすべて棚に上げてしまって、観てほしい作品。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年4月20日
読了日 : 2013年4月20日
本棚登録日 : 2013年4月20日

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