レビュー by stargazerさん
「ニート」という言葉は、もうあまり聞かなくなった気がするけれど。
・イギリスの「NEET」=16~18歳、学生でもなく働いてもいない、失業者を含む
日本の「ニート」=15~34歳、〃、失業者を含まない
・少年犯罪は凶悪化も増加もしていない。むしろ終戦直後の方が、いずれの点においても悪い状況にあった。
・同書の中でも述べられている通り、「ニート」論に限らず、あらゆる若者バッシングの構造を見抜くヒントが示されている。政治、経済、雇用といった側面から問題解決が図られるべきところを、教育や精神論にすり替え、自己の醜く耐えがたい部分を若者に投影することで溜飲を下げる人々がいるという。これは私自身にも無関係な構造ではない。「周囲の大学生はダメだ」と言って、優越感のようなものとともに思考停止してしまう場面が、正直少なくなかった。彼らを取り巻くマクロな条件を見極めてからものを言うべきではないか。批判するだけなら誰でもできるのである。ただし私は、いかなる大学生とも分け隔てなく付き合え、と言いたいのではない。波長の合う人々と関係を深めていけばよいが、「それ以外」の人々を一様に語ることの危険性を喚起したいのだ。それは多様な生き方に対する想像力をかなぐり捨てる行為であり、ひいては自己の生き方に自ら枠線を引く窮屈な状況を引き起こしかねない。
レビュー登録日 : 2011年08月19日
引用
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自分の中の憎しみに満ちた不気味なものを相手に投影した場合、相手が自分を憎んでいるように感じられます。すると、その憎んでいると思う相手をさらに憎む、という自と他の反転のようなこともよく起こります。
― 175ページ -
石を投げている人というのはいったい、どういう憎しみや、どういう情熱でもって石を投げているのか、といいますと、別に、「俺の女房をとられたからこのやろう殺してやる」という怒りではありません。そういう意味ではなくて、「社会全体が汚される」と感じるのです。
― 199ページ -
「ニート」をめぐる議論は、「パラサイト・シングル」論や「社会的ひきこもり」論、あるいは教育万能主義的な言説に「ただ乗り」する形で盛り上がった。それゆえ、当初の定義とは全く違う方向に進んでしまい、本来の意味とはかけ離れた「ニート」言説の横行まで許してしまっている。
― 303ページ -
(レビュワー注:日本の定義における)「ニート」の中で、「まったく」ないし「ほとんど」外出しない者、あるいは「普段一緒に遊んだり連絡する友人はいない」者はそれぞれ約一割にすぎないのです
― 43ページ






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