「若者はかわいそう」論のウソ (扶桑社新書) (扶桑社新書 76)

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  • 扶桑社 (2010年6月1日発売)
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若者の就職/雇用に問題がないというのではなく、むしろもっと大きな問題を認識して対処すべき、とデータを使って検証。
80年代以降の地殻変動によってもたらされたブルーカラー職の減少や、サービス業による雇用代替が対人折衝業務を増やしたが、これに適応できない人が多いと筆者は指摘します。

雇用を巡る議論の背景については概ね同意なのですが、実はあまり崩れていないと本書中でも説明される日本型雇用(長期雇用、年功序列)が、サービス業と相性が良くないことの考慮が必要と評者は思うのです。
最終章の湯浅氏との対談においても、反貧困論の主眼は長期雇用確保のようであり、雇用の入り口を重視する筆者と微妙なズレが見られます。

プレゼンスを増すサービス業(筆者のいう対人折衝業務)における長期雇用への期待が裏切られ本書発行の2010年以降にブラック企業問題に発展していくとすれば、改めてブラック企業問題を踏まえた筆者の見解を読みたいところ。
筆者であれば、世代間論争や特定企業の経営問題のみに帰することなく読み解いてくれると期待します。

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感想投稿日 : 2013年12月22日
本棚登録日 : 2013年12月22日

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