土の記(下)

著者 :
  • 新潮社 (2016年11月25日発売)
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棚田で農作業を営む老人の孤独で単調な肉体運動がゆえか、脈絡もなくあっちからこっちへと浮かんでは散逸する物思いと、彼をとりまく自然の圧。人が黙々と土に向かい、長雨に打たれるままにいると、やがて自然と同化していき、人間の意識はとりとめのない物思いに支配される。そんな状態の人の独白で物語をつむぐという試みは、その物思いと四季の村の自然のしつこいくらいの執着で描かれる描写だからこそ成立したのだろう。まさに高村薫の真骨頂。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年12月5日
読了日 : 2017年12月5日
本棚登録日 : 2017年12月5日

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