船に乗れ!〈1〉合奏と協奏

著者 :
  • ジャイブ (2008年10月1日発売)
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感想 : 234
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何度か読んでいるのだけれど、今年自分がアマチュアオーケストラに入ったから、オーケストラの練習場面なんかがとても良くわかって面白かった。宮本輝の「青が散る」を思い出させるような藤谷治の自伝的小説。恋をしてる女の子をアンサンブルに誘い、演奏する場面があるのだけれど、そこで音高の学長である主人公のおじいさんがバッハのオルガン小曲を演奏する。とくに曲の紹介もせずに演奏した二曲の楽譜を見て主人公のサトルが覚えておいたBWV605,BWV615。そのミニコンサートの15年後におじいさんが亡くなったあとにふとその番号を思い出し図書館で調べて不覚にも泣いてしまったというシーンがあるのだけれど、僕もそこには泣いてしまった。
BWV605はDer Tag, der ist so Freudenreich かくも喜びに溢れる日
BWV615はIn dir ist Freude 汝のうちに喜びあり
おじいさんは厳しくも孫が演奏するピアノトリオのホームコンサートがとても嬉しく、また音楽家を目指している高校生である孫への祝福の気持ちを、密やかに誰にも知られることもなくバッハの小曲を使って伝えていたんだよね。美しい。
第2部も楽しみ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2014年11月16日
読了日 : 2014年11月16日
本棚登録日 : 2014年11月16日

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