日中関係: 戦後から新時代へ (岩波新書 新赤版 1021)

著者 :
  • 岩波書店 (2006年6月20日発売)
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本棚登録 : 168
感想 : 23
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 日中関係を近代史から紐解いた新書。2006年に書かれた本なので、その当時の感覚が伝わってくる。ちょうど反日デモが中国で繰り広げられ、日本人の中に中国に対する嫌悪感が広がった時期。また、同時に不況にあえぐ日本にとって、中国との経済関係が重要になってきている時期。
 本書では、GDPが2020年になると中国に抜かれるのではとのんきな論調で、まさか現在のような急激な発展を達成するとは想像できなかったに違いない。中国側が、靖国問題を提起し、賠償問題を再燃させる一方で、外資資本の受け入れに躍起になっていたことや、ラディカルな統制で中国国民を統制する技術は本当に素晴らしいものがある。北京オリンピックと上海万博で、中国が世界の中心であることを国民に植え付けることにも成功した。
 一方で日本は、反日デモのショックで中国に対するイメージはどん底となったが、それがリーマンショック後の経済で最も重要な役割を演じた中国に対する対応の脆さにつながっている。歴史をみても、カネ、モノ、ヒトの順に水準が上がってくるはずだから、もう少しすれば文化的な人間も出てくるはず。それを楽しみにしよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2010年7月18日
読了日 : 2010年7月16日
本棚登録日 : 2010年5月21日

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