猫のお寺の知恩さん (4) (ビッグコミックス)

  • 小学館 (2017年6月30日発売)
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本棚登録 : 224
感想 : 7
5

あー、もう、顔が熱い。クーラーがバッチリ効いて涼しい部屋で読んでいるってのに、頬が火照ってくる
最高ですよね、と問うたら、最高です、って答えが返ってくるのは分かり切っているにしろ、さすがに、それだけでレビューにしたら、漫画読みとしての沽券にも関わるし、それ以前に、オジロ先生に申し訳ない
この(4)を読んで感動し、感想を自分の中の感情を整理しながら書いていて、ふと思ったっつーか、オジロ先生に対して浮かんだ印象は、青春ドラマの名手だよな、だった
男なら誰もが憧れてしまう、けど、現実にはならない、と受け入れている夢を、オジロ先生は漫画の中だけではあるが叶えてくれている
青春には、日常にエロが転がっているのが大事なんだけど、そのエロってのはいやらしいものではいけない。あくまで、「ドキッ」とするレベルなのがいいのだ。オジロ先生は、そういう、「やった!」と男の子が無邪気に喜べるセクシーな一瞬を描いてくれる。だから、好きだし、応援したくなる
その一方で、ストーリーにも、青春っぽさが滲んでおり、読み応えもバッチリ
青春の味は、甘酸っぱいだけじゃなく、時にほろ苦さも舌を痺れさせる。そういう当たり前の事を、オジロ先生は溢さない
上手く行きそうで、そう簡単には事は運ばない、だからこそ、青春は面白く、彩り豊かで、楽しい
源と知恩さん、この二人の男女の仲が、距離が一気に狭まる一方で、トントン拍子に進展しない、もどかしさも実に心へ染み込んでくる
源は自身の立ち位置を承知した上で、立ちはだかる色々な差を乗り越えようと足掻いている。その一方で、知恩さんは源が自分に近づいた分だけ、下がっている・・・逃げているようにも見受けられる
源の立場を慮って、大人らしい対応を知恩さんはしているのかも知れんが、純粋なものほど、恋心は押さえられると痛みの電気信号を強く発し出す。果たして、知恩さんはいつまで耐えられるんだろうか
こういう恋愛のテンポ、それを文字で表現できるようになる、それが私にとっちゃ、今後の課題だな。この『猫のお寺の知恩さん』を筆頭に、キュンと来る恋愛漫画を読んで、地道に地力を育んでいこう
これは、あくまで個人的な印象なのでスルーしてくれても構わないが、源をソワソワさせる言動の多い、流石先生。一見すると、知恩さんに気があるように見えがちだけど、私は何となく、同性愛者なんじゃないかな、と思っている。根拠がある訳じゃないんだけど、知恩さんに対しては、親愛の念はあるけど、決して、恋心はないように感じる。だからと言って、源狙いかっつーと違う気もする
この(4)の見所は何と言っても、海水浴で知恩さんが魅せてくれた水着姿だ。しかし、マニアックだな、と言われるのを承知で、自分のフェチをブッ込むのであれば、第29話「カエルと夏と知恩さん」だ。これまで、何度も、源に関しちゃ、嫉妬で血の涙が流れそうになったが、このイベントは羨ましすぎて、「てめぇ、この野郎!?」と掴んだ肩を揺さぶってやりたい。しかし、ベッドの上で悶える源のパッションが可愛らしいので、許してやろう、と思う
この台詞を引用に選んだのは、素直に感服したので。「ムッ」ってされてしまうかも知れないけど、やっぱ、年の功だな。嘘を吐かない生き方は、美徳だ。しかし、自分のやりたい事を我慢し、しかも、自分を犠牲にするような生き方が美しいか、と言ったら、さすがに違うような気はする。「うん」と、知恩さんは返事をしたけど、はたして、自分に正直になれるのかね、これから

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(小学館)
感想投稿日 : 2017年8月15日
読了日 : 2017年7月22日
本棚登録日 : 2017年7月1日

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