はやく大人になりなさい。 1 (花とゆめCOMICS)

  • 白泉社 (2016年1月20日発売)
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本棚登録 : 113
感想 : 7
5

あー、やっと読めた。これ、世に出た、いつだっけ・・・2016年の1月25日・・・一年近く、こんなグッとくる少女漫画を積み読してたのか、私
『星空のカラス』の完結巻の感想を書いて、燃え尽きてしまっていたってのは、モリエ先生に対しての弁明にすらなりゃしねえな
モリエ先生、ほんと、すいません。そんで、(2)はいつ頃、読ませていただけるんで?一年ばかり経過してるってコトぁ、そろそろ、出ますよね?『花とゆめ』編集部さん。こんなイイ作品の続刊が出ないとなったら、ファンが大人げもない態度で抗議しちゃいますよ(笑)
しかし、強烈だった。少女漫画だけでなく、青年向けの漫画もそれなりに読んでいる私ですら、ドキドキしてしまった
昨今の少女漫画が、良くも悪くもオープンになっているのは今更だけど、これはかなり攻めてる
上手く言えない、伝わる自信がないけれど、自分の印象を素直に言うなら、ストーリーがエロい
モリエ先生の作品を網羅している訳じゃないから、断定はできないけど、少なくとも、私が読ませてもらった既刊の中ではダントツに大人っぽい話
『ちはやふる』や『3月のライオン』に勝らずとも劣らぬ、文化系ガチンコ女性向け漫画だった『星空のカラス』に熱量こそ及ばぬも、読み手のガードをブチ抜くだけのパワーは宿している
『星空のカラス』をリバーブローとするなら、この『はやく大人になりなさい』はキドニーブローだろう・・・・・・うん、きっと、伝わってないな。逆に、「わかります!!」って言われたら、こっちが戸惑うな
表紙を見れば察せるが、ストーリーは教師と女生徒の、禁断ラブ
三嵩の“食虫植物系イケメン”ってのは、字的にかなりのインパクトがあるけれど、エロさを感じるストーリーに合っているな、と感じた。不用意に近づいてきた“獲物”に対し、容赦なく襲い掛かり、己の恐ろしさをアピールする一方で、生まれて初めての感情を自制できずに戸惑っているトコが、これまた可愛く、ナオが拒絶の姿勢を示しつつも、その毒に身を溺れさせてしまうキモチも共感できる
また、ナオの「まだ子供でいたい」、「大人になりたくない」って、思春期特有の強がりも覚えがあり、つい、苦笑が出てしまう
ストーリーがエロい、とは書いたが、肉体の接触は過激すぎない。まぁ、だからこそ、より話に淫靡さが宿るんだろう。勉強になる
三嵩とナオの心が近づいていく過程も、ガツガツしておらず、読みやすい
二人が自分の気持ち良さに素直になり、子供でも大人でも変わらぬ、誰かを好きになる甘さに身を委ねていく最中で、ナオの幼馴染み・戸塚が恋のライバルとして参戦してくるトコも、これまた、正道で、ますます、読み手は惹き込まれる
力強さ、って感じではなく、しなやかな技が光る少女マンガだな、この『早くおとなになりなさい』は
恋のエネルギーは、男を知性のある獣とし、少女を獣を惹く蜜薫る華とする
怖いけれど、下手に抗えば、己の心は蝕まれてしまう。ならば、いっそ、相手の心の内へ飛び込んでしまう方が良い。そんな思いきりの良さを発揮できるのは、子供の時だけだ
とは言え、そんな子供が恋愛で堕落しないよう、優しく諭すのが大人の役目。まだまだ、人を好きになる事の恐ろしさを知らない子供に引っ張られないよう、大人は一歩引いている必要はある。もちろん、押すべき時は押すべきだが
何も知らない子供でいられる時間は短い。けど、大人になる事は悪い事でもない
誰かを好きになれるのは、本当に幸せな事じゃないだろうか
先生、私は(2)を読みてぇのに・・・!
どの回も、モリエ先生の放ってくる、予測もつかないコンボに翻弄されまくりだが、個人的に最も膝が笑ったのは、第3話だった。少女漫画のお約束イベントの一つ、それがお見舞い。しかし、こんな甘々で、ドキドキしちゃう展開は、そうそうない。しかも、風邪のそれより熱くなるキスを戸塚に目撃されちゃう、って次に繋がる展開まで押さえている、モリエ先生、さすがだ
この台詞を引用に選んだのは、三嵩先生の独占欲と支配性が、これでもかってくらい出ているので。男ってのは何歳になっても、子供っぽいトコがある一方で、これほど、貪欲になれるのも経験を積んで、欲しいモノが手に入らなかった辛さを味わった事のある大人だからこそ。ほんと、ナオはもう、三嵩先生が絡ませてくる蔓から逃げられない。まあ、本人に逃げる気はないどころか、逆に強く抱き締め返す気のようだが。果たして、捕まったのは、どっちなのやら

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: コミック(白泉社)
感想投稿日 : 2017年2月23日
読了日 : 2017年2月17日
本棚登録日 : 2016年1月20日

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