吉原とは、何だったのか。
そして、その吉原はどのようにしてでき、守られてきたのかー。
傀儡子一族を中心とした"道々の輩"をめぐる吉原の裏面史。
それに、家康影武者、柳生一族、八百比丘尼など様々なものが絡んでくる。
花魁について、傀儡子について、作中で詳しく語られていて、それがすごく面白い。例えば、太夫とは、この頃は売女ではなく、時代の最高教育を受けたスーパーレディだったということ。吉原の遊女たちは、格段の媚術をもっていたと信じられており、その気の使いようには食べ物や、毛の手入れまで、ものすごいものがあった。彼女たちは、気貴い。美醜、身分、貧富のいかんにかかわらず、ありとあらゆる素人女を「地女」の一言で蔑称するだけの誇りと自信があった。
「汚濁の世に退屈な生を生きるより、何も彼も捨てて、一身を滅ぼす方がましだ…」
と思っていた主人公が、勝山の死を経て、
「こんな素晴しい獣たちのために、喜んで修羅へ落ちよう」
と決意するシーンは圧巻だった。もう一度、読みたい小説。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
隆慶一郎
- 感想投稿日 : 2010年11月23日
- 読了日 : 2010年11月23日
- 本棚登録日 : 2010年11月23日
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