かがみの孤城

著者 :
  • ポプラ社 (2017年5月11日発売)
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ある理由から学校に行けなくなってしまった中学一年生のこころ。
ある日、突然、彼女の部屋の姿見が光りだす。
輝く鏡の先には別の世界があった。
エメラルドグリーンの床に大きな城門。
別の日には、左右対称の絨毯敷きの階段に大広間のホール、大時計。
映画やアニメの中で見るようなお屋敷の中にいる。
そして、狼のお面を被り、お人形のようなドレスを着た女の子。

そこには、同じような境遇の、たぶん学校に行けてない子たちが集められていた。

お城が開くのは9時から17時まで。
時間を破ると狼に食べられてしまうと言う。
今は5月。これから来年3月30日までの間に隠されている鍵を探し出せば、一つだけ願いが叶うという。集められた7人は、それぞれの苦しみや悩みを抱えながら、お互いを知り、鍵を探すことになる。



クラスという社会にどうしても溶け込めないこと。
話が通じない人がいることを知ること。
剥き出しの悪意に初めて出会うこと。
最も信頼したい人なのに、そうできないこと。


彼らはみんな中学生。
この時期って最初にくるサバイバルの時期だと思う。少なくとも私にとっては。
彼らはみんな不器用だ。自分の中に溜め込んでどう助けを求めていいのかもわからない。
大人は、自分たちがそうだった頃のことは忘れて何でもいいから助けを求めて欲しいと願う。でも、彼らにとって大人は正しすぎる…。

この年代の彼らに、この本を読んで欲しいと思った。もし、今苦しんでいることがあるのなら、この本が彼らのかがみの孤城になるかもしれない。または、それを見つける勇気をもらえるかもしれない。そんな風に思った一冊だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 辻村深月
感想投稿日 : 2017年6月28日
読了日 : 2017年6月28日
本棚登録日 : 2017年6月28日

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