60年代のリアル

著者 :
  • ミネルヴァ書房 (2011年11月30日発売)
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本棚登録 : 158
感想 : 19
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著者は23歳の大学院生(!)。「リアルとは何か」をテーマに、安保闘争を繰り広げた1960年代の若者と、現代の若者の二つの視点から論考している。
僕は若松孝二監督の映画を観て以来、なぜ当時の20代が、国会議事堂を取り囲み、安田講堂事件などを起こすくらい「アツく」なれたのか不思議でならなかった。当時、デモに参加した若者みんなが、後の連合赤軍へ繋がる新左翼的な思想を持っていたとは到底思えない。本書を読んだ上での僕なりの解釈は、若者特有の血気だったり、今で言う「ノリ」とかに加え、人と触れあい、時に殴り合い、そうして確信する「今こそ生きている=リアル」を求める若者たちの衝動を満たす舞台として、安保闘争が選ばれた面を否定出来ないと思う。
「リアル」、それを「生きている実感」とでも読み替えて、いま過ごしている日常を振り返って見よう。今この世界は「リアル」なのか。それを考えるきっかけを示してくれる面白い本でした。あっぱれ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年1月26日
読了日 : 2012年1月25日
本棚登録日 : 2012年1月26日

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