以前は読む本といえば海外ミステリーばかりだったのに、年をとるとともにカタカナの名前が覚えづらくなり(笑)、ほぼ日本の作品ばかりに。これは登場人物が少なくて、そんな私でも大丈夫。
アラバマの田舎町を出て20年、冴えない歴史学者ルークは、ある日の講演会場で同郷のローラ・フェイから声をかけられる。彼女はかつてルークの父親の愛人と噂され、ルークの家庭に悲劇をもたらした張本人。嫉妬に駆られた彼女の夫ウディが、ルークの父親を銃殺したうえ、自殺したのだから。嫌な予感を抱きつつもしばし彼女と語らうことに。
無感覚もひとつの感情。心の芯まで麻痺していたルークが感情を取り戻す過程を見守っている気分です。ルークとローラ・フェイの会話と、その間のルークの回想が描かれているだけなのに、すべてのシーンが想像できます。
父親の、母親の、人生最後で最大の希望は何だったのか。そしてそれを知ったルーク自身の希望が形になるとき。
派手さはまったくないのに、ちっとも眠くなりません。これぞ至福の読み物。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
既読(2017年)
- 感想投稿日 : 2017年6月14日
- 読了日 : 2017年6月14日
- 本棚登録日 : 2017年6月14日
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