SOSの猿 (中公文庫 い 117-1)

著者 :
  • 中央公論新社 (2012年11月22日発売)
3.03
  • (143)
  • (667)
  • (1337)
  • (593)
  • (143)
本棚登録 : 11069
感想 : 841
4

『救急車って、どこに行くの』
『どこかでね、誰かが、痛い痛い、って泣いているんだよ。だから、助けに行くんだよ』

『お客様か。大歓迎だね。好きなだけ買っていってくれ。何を買いに来た? 避妊具か? 避妊具か? それとも、ほら、あれだ、避妊具か?』

『自己顕示欲、名誉欲、嫉妬、孤独、そういったものは結局、突き詰めれば、一言で表せる』
『一言で』
『「僕を見て」と』

『先ほど、わたしは、人には、「僕を見てくれ」という欲求があると言ったが、それともつながるかもしれないね』
『どういうことですか』
『SOSを発信している人は、やはり、その信号を聞いてもらいたいんだ』
『どういうことですか』
『二郎は、SOSを発している人間を救えないと嘆いているが、そうではなく、キャッチしてるだけでも充分、救いになっている。そうは思わないか』

『では、親はどうすればいいんでしょう』
『「子供のことが分からないけど、分かりたい」そう思ってるくらいがちょうどいいんじゃないか』

『人っていうのはやっぱり、言葉にして伝えないと相手には気持ちを理解されないんです。だけど、言葉にするのを省いて、うまくコミュニケーションが取れないと、「どうして分かってくれないのか」と腹が立ったり、「きっと相手は自分をこう思ってるのだ」と勝手に先回りして、怒ったりして、結局、雪だるま式に関係は悪くなっていくんです』
『それ、悪魔祓いの基本書とかに載ってるの?』
『いえ、離婚調停の本に載ってました』

『音楽は最初の一滴。それが波紋をつくる。波紋が波紋を生んでいく。やがて、大きな波となる。波は大気を揺らし、星を覆い、そして、目に見えぬ、約束に届く』

『物語は、時々、人を救うんだから』

『鴈子さんは、眞人は感受性が強いのよ、と言い、「鶏の肉はおいしいね」とあまり感受性を感じさせない言葉を吐いて、唐揚げを食べた。』

『でもさ、いつか絵、描いたら見せてね』
『絵の何たるかも知らないくせに』
『わたし、二郎の絵、好きだから』

『子供ってのはいろいろ考え込むもんだからね、思春期は特に、哲学の季節だよ』

『そうですね、まずは隠れたほうが』
『こういう時はね ー 堂々としているほうがどうにかなるんだって』

『どこかで誰かが泣いているんです。僕たちは、誰かのSOSを耳にしたんです。』

『あのね、母親ってのは、夢の中で息子が困ってるなら、その夢の中にも飛び込んでいきたいものなのよ』

『エアコンは、誰かを救う。分かりやすくていいだろ。それを僕は売る』

『エアコンの機能が、誰かの生活の苦しみから解放する。いいことではないか。やれることをやるほかない。』

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 伊坂幸太郎
感想投稿日 : 2012年11月25日
読了日 : 2012年11月25日
本棚登録日 : 2012年11月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする