少し、残虐性とホラー色が強くて、サスペンス慣れしていない私には、読み進めるのが辛かった。主観は次々と変わるのに、誰もが淡々としていて暗闇のようだった。
けれど、それも第二章が終わる頃になると気にならなくなった。文章に慣れたというのもあるが、登場人物たちの人物像が見えだして、その心情一つ一つに共感や納得をしてしまう自分がいたからだ。
辻村作品の登場人物は常に等身大だ。
それは、美点や長所ではなく、卑屈なところ、醜いところを描き出すからだと思う。登場人物たちの劣等感に同調すれば、暗く重いこの上巻もあっという間、だと思う。
とにかく、夜、のタイトルの通り、暗闇を閉じ込めた本のように感じた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年2月2日
- 読了日 : 2013年2月2日
- 本棚登録日 : 2012年12月16日
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