トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(下) (Thomas Pynchon Complete Collection)
- 新潮社 (2010年6月30日発売)
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感想 : 14件
亜米利加を北と南に分ける線を天文学的に引くって話なんだけど、妄想やら記憶やら噂やら仮定やら物語外やらの、悪ふざけな逸脱が物語を完全に支配してる。でもそんな逸脱があるからこそ逆に、家族とか友情とか差別とかのテーマが引き立てられてグッとくるっていう。んで、まさかの素敵ラストにびっくり。
子供たちの最後の台詞はもちろん感動的なんだけど、メイスンのゲゲゲっていうなんかイラっとくる口癖が、離れて育った息子にいつの間にかうつってたってのが、何だかほわっとした。
しゃべるイカした犬とか、機械じかけの鴨の恋とか、ヌルッとした長くて巨大な化物に取り囲まれる町とか、逸脱のエピソードが魅力的すぎるんだけど、そっちに気を取られてるとあっという間に本筋から吹き飛ばされて帰って来れなくなる。てか本筋なんてそもそもあったのかって感じだったりするけど。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年2月3日
- 読了日 : 2011年2月3日
- 本棚登録日 : 2011年2月3日
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