三葛館With T||495.46||乳癌
当館では闘病記として分類している本書ですが、私たちにいろいろな示唆を与えてくれます。
乳がんを患った患者さんの心理やご家族の思いはもちろん、著者の細胞生物学者としての生き方、妻である歌人・河野裕子氏の、夫や家族への愛情、家族のあり方など、すべてが「歌」を通して語られています。「歌」というものの持つ、たおやかさと迫力が心に沁み入る一冊です。
目次-----------------------------------------------
私はここよ吊り橋ぢやない
ああ寒いわたしの左側に居てほしい
茶を飲ませ別れ来しことわれを救える
助手席にいるのはいつも君だった
夫ならば庇つて欲しかつた医学書閉ぢて
私は妻だつたのよ触れられもせず
あの時の壊れたわたしを抱きしめて
東京に娘が生きてゐることの
いよいよ来ましたかと
一日が過ぎれば一日減つてゆく
歌は遺(のこ)り歌に私は泣くだらう
つひにはあなたひとりを数ふ
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和医大OPAC → http://opac.wakayama-med.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=65204
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- 感想投稿日 : 2013年3月5日
- 本棚登録日 : 2013年3月5日
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