生きるヒント―La Clef de vivre 愛蔵版 全一巻

著者 :
  • KADOKAWA (2000年6月30日発売)
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本棚登録 : 57
感想 : 8
5

無職のときから約2ヶ月かけて読み終わった。迷ったとき、不安になったとき、考えすぎたとき、何度この本に助けてもらったか分からない。90年代既に日本はドライになり、人との付き合いも薄れていった。それはもうものすごいスピードで。昔には宗教が根付いていた。しかし現代、誤解を恐れずに言えば信じるにたる神は存在せず、自分が自分を信じることが重要となった。だが、その自己の確立は、高度経済成長、バブル、そしてバブル崩壊、阪神淡路大震災、オーム事件、などで価値のよりどころが見つからない。そういっている間にどんどん関係性は希薄化し、軽佻浮薄なものへとなっていった。そうするとただ「生きている」ということが大切であり、まずお互いが生かされている、生きている関係性にあることを認識することから全てが始まるのではないだろうか。そんなことを訥々と、落ち着いた文章が静かに心を支えてくれる。
東北の大震災があった、原発の問題が起こった。悲しみ、怒り、感謝様々な感情がねじれている中、何を本当に自分が感じているのか、メディアを通じてだけでなく、何を見て、何を知り、何を考えるのか。その答えを都度都度考え、変えて、最後、どんな形でシンプルに腹に落ちた形で、自分の最後を迎えるのか。睡眠薬なしでは寝れなくなった自分が、これから約50年は生きていかなくてはならないかもしれない予兆と想像もつかない出来事に対して、どう想い、行動するのか。間違った方向に進まないために何を道しるべにすればよいか、そんなヒントが詰まった一冊でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生き方
感想投稿日 : 2012年7月31日
読了日 : 2012年7月31日
本棚登録日 : 2012年5月22日

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