首折り男のための協奏曲

著者 :
  • 新潮社 (2014年1月31日発売)
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感想 : 563
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誰かがしている誰かの話をいろんな風に集めてみたら、こんな都市伝説になりました、というような伊坂的NAVERまとめ、のような一冊。
その時著者が書きたいものをうまく並べて、バラバラのことがひとつの串でつながっているような面白い本だった。この著者の良い所の一つは、書き手側からみた構成の妙と、編集側からみた構成の妙がうまくハマっている時だと思う。一冊の本を作るように別々のテーマの短篇が焼き鳥のように並んだ時、そこにはまた一つの世界が生まれる。全部食べた時の美味しさと、素材一つ一つの美味しさ。
首折り男から空き巣の石澤、石澤の丁々発止のずれたやりとり、そしてちょっとした首折り男の話。物語自体の遊び(オマージュ)や、ちょっとした怪談、哲学、舞台脚本のようなタッチなど、とても筆者が楽しんで、それぞれの楽章を書いたことがよくわかる一冊です。
僕はやっぱり「僕の舟」が好き。第1楽章「首折り男」から第2楽章「石澤」へのブリッジが秀逸。
はっ!NAVERって協奏曲だったんだ…!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2014年3月11日
読了日 : 2014年3月11日
本棚登録日 : 2014年3月2日

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