吉祥天女(きっしょうてんにょ) (1) (小学館文庫 よA 6)

著者 :
  • 小学館 (1995年2月17日発売)
3.69
  • (77)
  • (108)
  • (165)
  • (12)
  • (0)
本棚登録 : 818
感想 : 74

先日、恩田陸の『六番目の小夜子』を読み、この作品に似ているなと思って、久しぶりに文庫版を読み返しました。
そうしたら、まずヒロインの名前が同じ小夜子だったので、びっくり。
加えて、小夜子が謎めいた絶世の美女である点、転校してきて謎の中心となる点、すこぶる頭がよくて気も強くて物怖じしない点など、あまりに共通点が多すぎて、驚きました。

マンガも好きだという恩田氏なので、この作品も読んだと思って間違いないでしょう。
オマージュというにはあまりにも共通項が多いように思います。

話の展開はまるで違うため、盗作云々という話ではありませんが、多少変更を加えることは簡単なことなのに、なぜヒロインの名前までも同じにしたのでしょう。
イメージを動かしたくなかったのでしょうか。

話をこの作品に戻すと、十代の頃に読んだ時には、とても不気味で恐ろしく感じたため、それからずっと読み直していませんでした。
特に小夜子の、「女は血なんて怖くないのよ・・・」というセリフがとても強烈で、今でも時折思い起こすほどです。

でも、読み直してみると、呪われた魔力を操るように思えた小夜子は、普通の女子高生で、同情心さえ芽生えました。
簡単に言ってしまえば、美しい女性に次々に身を滅ぼしていく男性達の話です。
男性達の中心にいるヒロインは、魔性の女とされますが、彼女にもきちんと言い分はあり、むしろ世の女性の弱さやつらさを代弁してくれていました。

少女マンガではなく、男性コミック誌に掲載していれば、(なるほど)と納得した男性読者の女性への対応が変わったのではないかと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: comic
感想投稿日 : 2010年7月11日
読了日 : 2010年7月11日
本棚登録日 : 2010年7月11日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする