グレッグのジェルミへの暴行に気づいたナターシャですが、自分と甥のマットの保身のために、見て見ぬふりをしてしまいます。
そんな人間の卑怯な面をあまさず暴き立てるようなこの作品は、読んでいて本当につらくなります。
力ある者となき者、支配する者とされる者との対比。
世の中の明るみに出ない場所で、絶対的に不条理な関係が存在していることに、読者はただ息をつめて知るばかりです。
思い余ったジェルミは、偽名で精神科医のカウンセリングを受けるうちに、グレッグ殺害への計画を練り始めることになります。
おそろしい計画ですが、それだけが被害者の正気を保ち続けられる方法とする精神科医。
他人にも、やはり受け止めるのが重すぎる秘密なのです。
ナディアのオルガンに心を癒されながらも、美しきものとかけ離れてしまった自分に絶望を感じて嘆くジェルミが、痛々しくてなりません。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
comic
- 感想投稿日 : 2010年8月30日
- 読了日 : 2010年8月30日
- 本棚登録日 : 2010年8月30日
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