以前、同じ著者の「禅入門」を読んでいたことを、同じイラストを見て思い出しました。
興味しんしんながらも、なかなかその意味が理解できていない般若心経。
そもそも、お経には詳しくないため、一から学ぼうと思いました。
お経とは、死者を弔うため、魂を極楽へと導く言葉なのかと思っていましたが、釈迦の教えの口述で、死者を慰める文句ではなくどうやって生きたらいいかというアドバイスだと知って驚きました。
そもそもの定義からして、まるきり勘違いをしていたわけです。
般若心経は、大乗仏教の根本思想を短く解き明かしている内容。
と聞くと難しく感じますが、悩みをなくす方法について説いているのだそうです。
さまざまなパターンがあり、現在流布しているものは、玄奘が7世紀に訳した262文字バージョンだということです。
浄土宗と日蓮宗以外のほとんどの日本の宗派で読まれるという、かなり宗派の垣根を越えたオールラウンドなものであると知りました。
難解な言葉が綴られていますが、有名な「色即是空」の「色」とは恋でなく、存在の意味だそうです。
また、「空」とは宇宙の真理であり、仏の物差しでものを見ること。
存在論的には「空」とは「デタラメ」であり、認識論的には「あきらめ」になるのだそうです。
あきらめというと、マイナスイメージがありますが、本来は物事の本質をあきらかにするという意味なのだとか。
デタラメ、あきらめ、いい加減、この三つのスローガンが、般若心経の精神なのだと書かれており、びっくりしましたが、なんだかとても気楽に感じられるようになりました。
そもそも小乗(上座部)仏教と比較して大乗仏教のあり方を説いているこのお経は、いろいろなことを分析する小乗仏教の小難しい教えを全否定し、それらはまったく意味がないとしています。
お経の中にも、こと細かく否定していく部分がありますが、それが小乗仏教の理念を指示しているものだと知りました。
このお経では、舎利子(シャーリプトラ)が諭されている形になっていますが、それは彼が小乗仏教の代表的存在とされているからだとのことです。
また、諭しているのは、師匠である釈迦だと思っていましたが、観自在菩薩とされているようです。
「般若波羅蜜」のところで、これまで気になっていながらも、はっきり意味がわからなかった「六波羅蜜」の説明がありました。
「波羅蜜」とは、彼岸(悟り)に至ることやその方法で、「六波羅蜜」とは、「布施、持戒、忍辱、精進、禅定・・・そして智慧」を示しているのだそうです。
六波羅蜜寺の意味がわかってきました。
知らないことや、勘違いしていたことが多く、読んでいて驚きの連続でした。
なんとなく知っているようでありながら、その実、般若心経についてほとんど知らなかったということを実感します。
私のように、ぼんやり把握しているだけの人は、かなり多いのではないでしょうか。
そういった人たちにとって、格好の参考書となっています。
ひろさちや氏の本は、イラストも多用され、わかりやすいため、今後もチェックしてみようと思います。
- 感想投稿日 : 2012年2月29日
- 読了日 : 2012年2月29日
- 本棚登録日 : 2012年2月29日
みんなの感想をみる