最近、歴史の女性像に焦点を当てた、柔らかめの本がたくさん出てきています。
これも、装丁からして姫様使用。
50名もの女性の生涯が紹介されます。
かなりごっちゃになりそうですが、一人一人、かわいらしいイラストがついているため、区別しやすくなっています。
まず最初に登場したのは明智煕子(ひろこ)。
明智光秀が好きな私は、この仲の良い夫婦の話がとても好き。
さくさく読み始められます。
ただ、どうしても男性主体の歴史のため、女性はつねに男性に運命を左右される存在。
華やかなヒロインたちではありますが、誰の生涯にも、悲しい影が付きまとっています。
読んでいくうちにやるせなくなってきますが、これも歴史の事実ではあります。
歴史の表舞台には登場しないため、歴史上の女性の話はどうしても伝説半分、伝承半分といったところで、事実事項は相当少ないものと思われますが、謎の部分が多いだけにロマンをかきたてられる存在となっています。
「尽くす女」「支える女」「はかない女」など、女性のタイプ別で章がまとめられているため、時代の流れが前後している構成は少し読みづらく思いました。
日本に「傾国の美女」と言われるヒロインはいないのではないかと思っていましたが、新田義貞の恋人、匂当内侍(こうとうのないし)は、内侍と別れる寸暇を惜しんだ義貞が、逃げる足利尊氏を追撃しなかったため、建武の新政が崩れたということで、かなりその名称にふさわしい人物なのではないかと思います。
また、浅井長政の次女お初は、三姉妹の中でも一番無難な人生を置く他のかと思っていましたが、なんと生涯で4度の落城を目の当たりにしていた(1-父浅井長政の落城、2-義父柴田勝家の落城、3-夫京極高次の大津城落城、4-講和中に姉淀君の大阪城落城)とのことで、ショッキングな人生を送ったことがわかりました。
幕末では、高杉晋作の愛人おうのは、晋作没後、まだ25だったので再び芸者に出るつもりが、高杉の同志たちが「世間体が悪い」と無理やり髪を切り、尼にしたとのこと。
また、木戸孝允の夫婦となった松子(幾松)は、美男美女のラブラブなカップルかと思いきや、結婚後は夫と疎遠になり、寂しさに耐えきれず、役者遊びに走ったとのこと。
やはり男次第で女の運命は変わってしまうようです。
豪華絢爛に見えますが、やはりはかない女の生涯。
それでも男の陰には女あり。やはり妻の影からの支え合ってこそ、男性は歴史上に名を馳せられるものだなあと、改めて思いました。
あと、巴御前は前から好きでしたが、彼女の恋人の木曽義仲は意外とどうしようもない男だったということがわかって、ちょっとがっかり…。
- 感想投稿日 : 2011年6月23日
- 読了日 : 2011年6月23日
- 本棚登録日 : 2011年6月23日
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