さよなら小沢健二

著者 :
  • 扶桑社 (2015年12月13日発売)
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本棚登録 : 98
感想 : 9

最近19年ぶりの新作と共にMステに再登場して、往年のファンを喜ばせた小沢健二。
この本はそれ以前に書かれたものとなっています。

林真理子の推薦文と共に電車内で大々的に宣伝されて、気になっていた『ドルフィン・ソングを救え!』の著者ですが、文章を読むのはこれが初めて。
サブタイトルに「1994→2016 樋口毅宏サブカルコラム全集」とあるように、サブカルへの造詣が深い人で、その文章はかなり強烈。
文に乗せた自分の存在が濃い人で、コラム集では、彼の主張見解をまとめ読みすることになるため、強い個性の炸裂ぶりに読者は圧倒されます。

サブカルということでディープでニッチな領域をテーマにしており、映画も本も、紹介されているものは知らない作品がほとんど。
いや~、私はサブカルレベルには達していないんだなあ、と悟ります。

またサブカル以外でも、人や時代を見る目は鋭く、納得がいく発言ばかり。
タモリ論も出しているそうです。そちらもおもしろそう。
「なぜ村上春樹が人気なのか」の彼なりの見解は、ファンはガックリしそうですが、かなり頷けるものがあります。

そしてこの本のメインとなる、オザケンへの崇拝力の強さには驚くばかり。まさに宗教レベルです。
世のオザケンファンは、みんなこんな感じなのかもしれませんが。
小気味いい文章ではありますが、やっぱりヘビー。
「SPA!」に掲載したコラムが多く、男性読者を対象にした文章のように思えました。

彼は昨年、作家引退を表明したそうですが、サブカル分野をさらに深めて何らかの形でまた目にすることがあるでしょう。
小説はまだ未読なので、『ドルフィン・ソングを救え!』なりとも読んでみようと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ・対談
感想投稿日 : 2017年5月31日
読了日 : 2017年5月31日
本棚登録日 : 2017年5月31日

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