いかにもオサレっぽい装丁に、あまり期待せずに最初のページを開けてみたら、茨木のり子さんの「大男のための子守唄」にいきなりノックアウトされた。
「どこかがひどく間違っている/間違っているのよ」という直感に導かれるようにして、さまざまな時代と場所から集められた文章たち。こんなに薄い本なのに、密度の濃いヘヴィ級の言葉が詰まっている。
なかでも、ここで知ることができてほんとうによかったと思えたのは、伊丹万作「戦争責任者の問題」、丸山真男「現代における人間と政治」、そして「先住民指導者シアトルの演説」だ。どれも、私たちが生きている社会の恐るべき倒錯を指摘するだけではなく、そこで生きるものの個人的責任と集合的責任について語っている。国や東電や、「何も考えてないやつら」の責任ではなく、私は今何をすべきなのかと考えつづけるためのヒントが見つけられる本。図書館で借りたけど、やっぱり買いに行こう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
アンソロジー
- 感想投稿日 : 2013年9月5日
- 読了日 : 2013年8月30日
- 本棚登録日 : 2013年9月5日
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