おひさしぶりのジェイムズ・アイヴォリー作品は、自殺した作家をめぐる6人の大人たちの物語。野心家の恋人にせきたてられて、自殺した作家の伝記執筆の許可を、作家の妻、愛人、兄からとりつけるために、ウルグアイの屋敷をおとずれた文学講師のオマール。まるで時間から取り残されて眠り続けているような敷地のなかで奇妙な生活を送る6人の間には、支配と服従、疑い、諦めがはりめぐらされている。その束縛はどこか心地よくもあるが、ひとは動きだす機会を待ってもいるのだ。それぞれが、それぞれの方向へと、ゆっくりと変化を遂げていくこの物語は、変わることをしっかりと肯定し、たじろぐ背中を優しく押してくれるようだ。
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- 感想投稿日 : 2013年4月9日
- 読了日 : 2013年4月7日
- 本棚登録日 : 2013年4月8日
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