驚異のリーダビリティ。難しい内容をこれだけ興味深く書けるとは、科学ライターとして、サイモン・シン以来の著者だと思う。(訳者が同じ青木薫氏というのもあろうが……)。量子という概念の発見から、その発展を追うなかで、科学者たちの悪戦苦闘が描かれる。その紹介の仕方が巧みで、まるで三国志かなにかを読んでいるようだ。物理学という学問が「実在」をめぐる宗教論争のようになっていく過程、最初は抵抗をうけつつじりじりと「コペンハーゲン解釈」派が勝利を収めていくようすは非常にスリリング。近年出色の1冊だ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
科学
- 感想投稿日 : 2013年6月15日
- 読了日 : 2013年6月15日
- 本棚登録日 : 2013年6月15日
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