けむたい後輩 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎 (2014年12月4日発売)
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本棚登録 : 1868
感想 : 154
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最後の真美子の言葉と言ったら!!この本のすべてが最後の3ページくらいに詰まってる。すごい。ただ、栞子の言動に眉をひそめながら読んでたくせに、真美子にノックアウトされた栞子に共感し、泣けてきた。
自分を美化するために、存在する場所を確保するために、真美子という自分を陶酔する後輩を使ってきた栞子。気にするのは他人からどう見られているかであって、その間まったく自分を高めようとしていない。時が過ぎてゆくだけ。人生で経験することはすべて自分の血肉となるもの。良いことも悪いこともすべて。栞子は何もしてない。自分より下に見ていた真美子が、気づけばなんとも素晴らしい人間と成長し、初めてそれに気づく。
自分にも、すべてではないけど重なるところがあるのでは、と思いながら読んでた。人を卑下するときって、幸せじゃないからなんだよね。。

ああ、タイトルがすごいことに最後になって気づく。柚木さんやるなあ。これが初期の作品とは。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 柚木麻子
感想投稿日 : 2017年8月8日
読了日 : 2017年8月8日
本棚登録日 : 2017年6月20日

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