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eyes&brain Ⅱ(夜) > 読み終わった


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主に小説、絵本、ノンフィクション。 たまに詩集、エッセイ。 透明感のある文章のものが好きです。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

フィリップ・K・ディック カバーデザイン:土井宏明(ポジトロン) 浅倉久志

/ 早川書房 / 1977年03月01日 発売



ネタバレ  ディックの小説を読むのは『ユービック』に続き二作目。『ブレードランナー』に映画化された有名な作品。(私は映画は未鑑賞)
設定も登場する機械等も、いかにもSFなのに、話の根幹はもっと人間的な感情の部分。

人間である主人公はお金がないから安い電気羊を飼っているが、本当は本物の動物(とてつもなく高価)を飼いたい。だからお金のために仕事をする。その仕事とは、人間とほぼ見分けがつかない“アンドロイド”を見分けて殺すこと。
“アンドロイド”は人間と違って共感能力を持たない。
主人公は次々と“アンドロイド”を始末していくが、共感能力を持つ人間だからこそ、人間を守るために“アンドロイド”を殺すことが正しいことなのか、ということで悩みはじめる。

人間が生み出したものがいつしか人間を凌駕して人間を脅かす存在になる。
この物語に描かれているような“アンドロイド”は今のところの世界には存在しないけれど、まったく違う形で存在しているような気がする。パソコンだとか、携帯電話だとか、そういう形で。

『ユービック』もそうだけど、ディックの作品は乾いていて退廃的な雰囲気が好き。
SF初心者でもわりと読みやすいと思います。


2012年03月19日 | コメント(0) | SF | 読み終わった (2012年03月19日) |

ローズガーデン (講談社文庫)

桐野 夏生 桃谷 方子

/ 講談社 / 2003年06月13日 発売



ネタバレ  桐野さんの小説を読むのは初めてだったのだけど、他の方のレビューを読むとこの短篇集の主人公“村野ミロ”は他の小説にも登場してシリーズ化している模様。『ダーク』とか?今度読んでみなきゃ。
おそらくこの小説は“村野ミロ”の原点なので、読む順番としてはきっと正しかったと思われます。
4つの話の短篇集だけど不思議な構成。1つ目はミロの夫視点の話で、高校時代の出逢いから現在までが描かれている(夫はその時点でジャカルタにいる)。
2~4つ目は夫はまったく出てこず、大人になって探偵になったミロが関わる事件を紐解くミステリ。
表題作は1つ目。精神だとか性愛だとかそういう話。
2~4はミステリだけどやはり精神要素が強い。女性が描くミステリという感じ。
桐野さんの『OUT』はドラマ化されたのを観たけどかなり衝撃的でした。小説も読んでみたいけれど少し怖いような。


2012年02月28日 | コメント(0) | ミステリ | 読み終わった (2012年02月28日) |

八日目の蝉

角田 光代

/ 中央公論新社 / 2007年03月 発売



ネタバレ  昨年、映画化される前に読みました。泣きながら小説を読んだのはものすごくひさしぶりのことだったし、読み終えたあとしばらく放心状態だった。

不倫相手の子どもを堕胎したことが原因で子どもを産めない体になってしまった希和子が、その不倫相手と妻の子どもを誘拐して逃亡する。その逃亡記が第一章で、第二章は、誘拐された子ども・恵理菜が大人になってからを中心に描かれている。

希和子のしていることは簡単に言ったらただの犯罪だ。いくら不倫でそういう体になったとはいえ。だけど読み進めていくうちに、どうか希和子と子ども(本名は恵理菜だが、希和子は“薫”と名付けて育てていた)を引き離さないで、平穏に暮らさせてあげて、と願っていた自分がいた。
本当の親子ではないけれど、希和子の母性は本物で、薫を守りたいと強く願う気持ちも本物だった。逃亡の果て、最後に希和子が言った言葉が、まさしく母性を強く表している。

子どもを誘拐された恵理菜の母親は、ヒステリックで女性くさくて、あまり母親向きではないかもしれない。でもやはりこの人の苦悩やいらだちも、母性からくるものなのだと思う。

そして恵理菜。いちばんの被害者は彼女。
親たちの勝手によって人生を大きくねじ曲げられてしまった彼女は、本当の母親には心を開けず、4歳まで育てられた希和子に対しては解放できない憎しみを感じながら大人になった。
そして自分も妻のある人と交際し、その果てに子どもを身ごもる。

アングラ的な要素も出てくるので苦手な人は苦手だろうし、不倫ネタが嫌いな人も厳しいだろう。でもそれだけの物語ではないことは確か。恵理菜以外は全員自分勝手で、だけど自分の愛情を表現することに必死でとても人間らしい。

すべての欲望を捨てて暮らせるエンジェルホームは、ある意味いちばんの理想郷なのかもしれない。宗教なのだろうけど、それでも。そういう場に逃げ場を求める気持ち、そこに平穏を望む気持ち、わからなくない。

ここ数年でいちばん印象に残った小説。時間を置いてまた読みたいです。


2012年02月22日 | コメント(0) | その他の小説 | 読み終わった (2012年02月22日) |

予定日はジミー・ペイジ

角田 光代

/ 白水社 / 2007年09月01日 発売



角田光代さんの小説はいろいろ読んだけれど、とても“女子的”なところが好きです。“女性的”というより“女子的”。
オンナにしかわからないであろう、オトコが読んだらもしかしたら引いてしまうかもしれない感情を綴るのがとても巧い。
自分が経験したことがまったくない中身でも、なぜか共感できてしまう。
この小説の場合は“妊娠”。私は未経験のそれですが(角田さんはどうなのかな?)、最初はあまり子どもが欲しいと思っていないまま妊娠してしまった主婦の心の機微が描かれています。章ごとに『○月●日』という日付がついている日記調の小説。
経験したことないのに、なぜか、あぁわかるな~って思ってしまう不思議。淡々と描かれているのだけど、だんだん主人公の気持ちが変わっていくのが感じられる。
個人的にはラストの切り方も秀逸でした。こういう終わり方好き。
ただ、この後読んだ、同じく角田さんの『八日目の蝉』が良すぎたので、これは★3つです(笑)


2012年02月22日 | コメント(0) | その他の小説 | 読み終わった (2012年02月22日) |

ぜつぼう

本谷 有希子

/ 講談社 / 2006年04月28日 発売



過去に人気バラエティー番組に引っ張り出されたのがきっかけでブレイクした芸人が、その後下火になり、いわゆる過去の一発屋という状態になり、心まで病んでしまう。その、絶望。

読んでまず思ったのは、猿岩石のことを思い出すなぁと。笑
うっすらではあっても、彼らのことをモデルにしているのかな、と感じた。

ぜつぼう、とはあるものの、どこか軽快で重苦しい感じもなく、むしろ悩むことを小馬鹿にしたような雰囲気さえ感じた。
読みやすく、一気に読めます。一言、おもしろかった。

本谷有希子さんといえば『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』と思い出すのですが、過剰な人間が出てくるところが好き。
腑抜けども~の小説も読んでみたい。


2012年02月07日 | コメント(0) | 純文学 | 読み終わった (2012年02月07日) |

たいようオルガン

荒井 良二

/ 偕成社 / 2008年09月 発売



お友達からプレゼントとして頂きました。
とにかく絵が鮮やかできれい。
『ゾウバス』が町を走ってゆく様子がずーっと描かれているだけなのだけど、かわいくて、不思議と癒されました。
文も独特。ときどき出てくる「ゾウバス トンネルはいりまーす」とか一行で終わるページがめちゃめちゃ好き。
絵本もらうと嬉しいね。これは飾っておきたい一冊です。


2012年02月04日 | コメント(0) | 絵本 | 読み終わった (2012年02月04日) |



久しぶりの読書ということで軽めに読める短篇集をチョイス。
そのなかでもこれはショートショートなので、一篇が5ページくらいのお話が多く、飽きずにテンポよく読み切りました。
以前同じく赤川次郎のショートショート(確か『踊る男』)を読んだことがあって、それにはけっこうぞっとするような怖いお話も収録されていた記憶があり、印象にも残っていたのだけど、そういう意味でこの短篇集は少し印象が薄い。少なくとも、本当にぞっとするようなお話はなかったです。(かるーく怖いお話はいくつかありました)
でもとにかく飽きずに読めるので、あまり読書が得意じゃないけど何か読んでみたい人にはおすすめ。難しい表現もないので読みやすいです。


2012年02月04日 | コメント(0) | 短編集 | 読み終わった (2012年02月04日) |

超短編の世界

タカスギ シンタロ 創英社出版事業部

/ 創英社 / 2008年06月 発売



収録されているお話が全て1〜2ページで完結する、まさしく超短編集。
胸がざわざわするような奇妙な物語が多く、短いため説明的ではないから少し頭を使わなければ意味が分からないものもいくつかあったが、基本的には読みやすくて面白かった。
赤川次郎のショートショートや、世にも奇妙な物語が好きな人はきっとこの本も気に入ると思う。
この本を読んでいる時、俄然超短編が書きたくなりました。刺激を与えてくれた1冊です。同じシリーズの2や3も読んでみたい。


2011年04月05日 | コメント(0) | 短編集 | 読み終わった |

バニシングポイント (集英社文庫)

佐藤 正午

/ 集英社 / 2000年02月18日 発売



連作の短編集なのだけど、繋がりの焦点が違うため、連作だけど全く繋がっていないような不思議な違和感がある。
同じ登場人物が何度か出てくるけれど、前はどの章に出てきたのか軽く混乱した。こういう連作を読むのは初めてです。
『バニシングポイント』とは『遠近画法における消失点』という意味らしい。タイトルの意味を知ると、こういう造りであるのも納得出来る。
全体的に乾いていて退廃的な雰囲気があり、登場人物にそこはかとない色気を感じた。雨の日の夕方に読みたい感じの小説でした。


2011年04月05日 | コメント(0) | 短編・連作 | 読み終わった |

赤い長靴 (文春文庫)

江國 香織

/ 文藝春秋 / 2008年03月07日 発売



結婚して10年、しかし子どもはいない一組の夫婦の物語。
江國さんの小説は昔から今まで結構読んでいる方だけど、この作品、『スイートリトルライズ』と重なるところがありながら、何かが決定的に違う。だけど“人と人はいくら夫婦であっても本当の意味では分かり合えない”という絶対的な孤独が根底にある部分は共通していると感じた。
私はまだ結婚したことがないから、夫婦とはどういうものなのかを語ることは出来ない。だけど夫婦に限らず、親子、兄弟、友達だって、どれだけ仲が良くてもやはり違う人間でひとつになることは出来ない。そういった意味での“絶対的な孤独”は理解出来る。

この物語の主人公・日和子は、クリスマスに夫が毎年買ってくるお菓子が詰まった赤い長靴が気に食わない。辛辣に、夫に言ってしまうくらい。だけど夫は日和子の言葉も意に介さず、翌年もまたその翌年も赤い長靴を買い続ける。
通じ合わない、いつもどこかちぐはぐだ。だけど夫婦は共に時間を過ごすことに意味がある――そういうことを感じる物語。
当たり前だけど夫婦なんて、ずっとラブラブなわけじゃない。当初の熱もいつかは冷める。だけど結婚生活の真価はきっと、別のところにあるのだと思った。

作風がどことなく違うから元々江國さんのファンの人はしっくり来ないかもしれないけれど、私はこの派手じゃない純文学、好きです。


2011年03月29日 | コメント(0) | 恋愛 | 読み終わった |

木橋

永山 則夫

/ 立風書房 / 1984年07月 発売



歴史的にも有名な死刑囚・永山則夫の小説。獄中で小説を書くことに目覚め、賞まで獲得し、そして獄中結婚して、40代で処刑された男。
永山の母親が青森県出身で、氏も青森県で過ごした経験もあるということから、ずっと気になっていました。

この作品は小説でありながら自叙伝であり、ところどころ自叙的な詩集になっている。自分が罪人となった原因(だと恐らく本人が思っていた)の生い立ちを物語風に綴っている。
表題作の『木橋』は、私が住んでいる近くが舞台になっているため、読みながら風景を想像出来て不思議な感じでした。そういう意味で親しみが湧いた。

小説ではなく自叙伝として書かれた作品もあるようなので、それも読んでみたいと思いました。


2011年03月28日 | コメント(0) | 純文学 | 読み終わった |

蟹工船・不在地主 (小林多喜二名作ライブラリー)

小林 多喜二

/ 新日本出版社 / 1994年11月 発売



2~3年前にこの小説の再ブームが来てたのはなぜ?と思っていたのだけど、ずっと昔の小説だけど、現代の背景(というかシステム?)に通じるものがあるからなのか、と納得。
金持ちはますます金持ちになり、貧乏はますます貧乏になる。。

“プロレタリア文学”と言われるとどんだけ左寄りなんだろう…って避ける人も居そうだけど、今の若い人ってリベラルな思想の人が多いと思うし(よほどの右寄り思想でない限りは)理解できる文学として読めると思う。

著者の最期を知るにつけ、いろんな思想が普通に認められる今の世の中は、当時からするとすごいことなのだと実感した。いまは“共産党”ていう政党があるくらいなんだ。


2011年03月15日 | コメント(0) | 純文学 | 読み終わった |

蟹座

石井ゆかり

/ WAVE出版 / 2010年06月30日 発売



優しく柔らかい文章でその星座についてを教えてくれる本。
「この占いは当たりますよ!」みたいな押しつけがまさは一切なく、ひとつの読み物としてとても面白い本でした。

私は自分の星座の本をお友達から頂いたのをきっかけに読んだけれど、他の星座の本もぜひ読んでみたいと思った。
基本的に全ての相性や性質を“肯定”する書き方をされているところに好感を持ちました。

…ちなみに内容は当たってる!と思うことが満載でした(笑)


2011年03月08日 | コメント(0) | 実用書 | 読み終わった |

イカと醤油

つぶやき シロー

/ 宝島社 / 2011年01月22日 発売



職業作家の小説と小説の間に読むと、文章の荒さが少し目立つ部分もあるけれど、つぶやきシロー独特の世界観に浸ってみたい人はぜひ。
ひとつの父子の物語だけどけして『お涙頂戴系』ではないし、お笑いネタと同じ『人を傷つけないあるあるネタ』も自然に盛り込まれてて面白いし、シュールでどこか物悲しくてだけど温かい小説。人柄が出てるんじゃないかと思う。

タレントさんが書いた小説ってそれだけで厳しい目で見られがちだけど、それだけ期待もある、ということでもあると思う。
だけどこの小説は『タレントが書いた小説』じゃなく純粋に一冊の小説として読んで面白かった。
感性が合わないとそう感じるのは難しいかもしれないけれど。。。笑


2011年03月04日 | コメント(0) | その他の小説 | 読み終わった |

乳と卵

川上 未映子

/ 文藝春秋 / 2008年02月22日 発売



ネタバレ  句読点が少なくひとつのセンテンスが長い、この独特なリズムの文体は、しっくりはまる人とはまらない人が分かれると思う。(私はあまりはまらなかった)

だけど…1時間もあれば読了できる短い物語だけど、内容的には思うところが結構ありました。
これはおそらく、女性にしかわからないような感覚が、ふんだんに含まれている小説だと思う。

姉妹で銭湯に行き、湯船に浸かっているときに、他の人の身体を何となく観察して、胸の大きさや乳首の色などを自分と比べている描写。
夜中にいきなり生理が来て布団を汚してしまったり、使い終わったナプキンの匂いを何となく嗅いでしまう描写。
これらをやるかやらないか、経験したことがあるかないかは女性でも人それぞれだけれども、いずれにしても、女性にしか解らない部分であることは確か。

主人公(私)の姪の思考は、もしかしたら著者が思春期だった頃に思っていたことなのだろうか、と思った。
そして、自分も思春期の多感だった時期のことを思い出しました。
望んでいないのに初潮が来、胸が膨らみはじめ、身体だけが勝手に大人になってゆく…あの不可思議な不安感。抗いたいのに抗えない感じ。“オンナ”になってゆくことで、男性の存在やその視線を気にせずにはいられない、甘酸っぱい感じ。
物語内にはそういった説明めいたことは書かれてはいないけれど、私はそういったことを感じました。

このリズムは他の著書も同じなのか…いずれ他の小説も読んでみたいです。


2011年02月23日 | コメント(0) | 純文学 | 読み終わった |


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