機嫌のいい犬

著者 :
  • 集英社 (2010年10月26日発売)
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感想 : 46
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川上弘美さんの句集(1994-2009)
人に誘われて俳句を始めた当初からのものだとか。
年別に収録されていて、説明はないものの春夏秋冬の順に並んでいることが分かる。
句の数が多い年、少ない年、すっかり抜けている年、とくに決めごとはなく自由に書いている感じが、なんか良い。

「五月雨や ゆがみてあをき ラムネ玉」
「ポケットに 去年(こぞ)の半券 冬の雲」

俳句ってどことなくとっつきにくい印象があったけれど、思いのほか日常に根差しているんだなぁ、と。
暮らしの中でふと気づいたことを俳句にしてみる。そういうことから始めるのも面白いかも。
川上さん自身も最初は「私が俳句なんて…」モードだったのが、始めてみたらすっかりはまってしまったようだし。

勝手なイメージ、川上さんって趣のある旧い日本家屋に住んでいそうな印象で、この句集を読んでますますそれが深まった。
(もしかしたら近代的な高層マンションに住んでるかもしれないけど。笑)
小説「センセイの鞄」を彷彿とさせるような句も見つけた。

私の知人でも俳句会に入っている人がいるけれど、同じ会にいるメンバーでも、俳句に対する思いはけっこう違うらしい。
最近の、決まりに囚われない自由な句も良しとする人もいれば、きちんと決まりは守って真面目に作るべきだと言う人もいて。

いずれにしても面白く奥深い世界。
17文字で風景や思いを表す。そこに情緒が生まれるなんて、日本語でしか出来ない技なのかも。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 詩集
感想投稿日 : 2016年8月21日
読了日 : 2016年8月21日
本棚登録日 : 2016年8月21日

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