とっても有名な小説だけど初めて読んだ。
これは読む年代によって感じ方が変わりそうな気がする。もっと若いときに一度読んでおけばよかった。
かもめのジョナサンは食べることよりも飛ぶことそのものに大きな興味を抱く、言ってしまえば異端なかもめ。
そしてそのことがきっかけである日群れを離れることになり…
心のなかに何か欲求や希望があっても、それだけに焦点を当てて生きていくのは簡単なことではない。
突き詰めることによって他者から異端視されて煙たがられることもある。
だけど本当はそういう生き方をしたいと願っている者が、煙たがる群れのなかにも存在している。
そんな群れのなかの者は、自分の本当の欲求に気づいたとき、どういう行動を取るのか。
面白いのは、訳者の五木寛之さんが、この物語に対してあまり肯定的ではないということ。
肯定的でないというか、ちょっとした危機感を抱いているというか。 確かにその気持ちも少し解るような気がする。
でも私は、ジョナサンたちのような異端視されながらも自分の欲求に忠実に生きる者が正しくて、それを妬んだり排斥するような群れに生きる者が間違っているとか、この物語はそういうことを言いたいのではないと思った。
どっちの生き方も“あり”で、どっちが正しいとかいう問題ではない。無理してるわけじゃなく群れで生きる方が心地よい人だってたくさんいるだろうから。
自分の意識に気づいて生き方を考えてみる。そのきっかけを与えるような寓話で、それを分かりやすく両者に役割を与えて描いているように私は感じた。
自分にとって本当に大事なものは何なのか。目的は何なのか。金銭や賞賛を得たいからそれをするのか。それともただそれが好きだからするのか。
自分のことを異端かも?と考えている人はとくに共感できるのかも。
私は今は思わないけどそう思ってた若い考えのときがあったので(笑)尚のこと、もっと前に一度読んでおけばよかったかなと思う。
でも今読んでも、私は私が思う生き方をしていいんだ、という想いは改めて与えてもらった。
この作品と対になってる(?)小説もあるらしいから、それを読めばまた感じ方に変化が生まれるのかもしれない。
- 感想投稿日 : 2015年5月20日
- 読了日 : 2015年5月20日
- 本棚登録日 : 2015年5月20日
みんなの感想をみる