上杉景虎・敗北の歴史的意味とは。
「関東統一政権」の夢を打ち砕いた重大事件の真相。
上杉・北条・武田連合立役者の波乱の人生を綴る。
上杉謙信の死により勃発した御館の乱は、東国の戦国
大名が天下取りの趨勢から大幅な後退を余儀なくされ
た戦国史上の大事件だった。
本書は、史料を丹念に読み込み、定説の見直しを図っ
ている。通説では、謙信死後、景勝側が実城を占領し
国庫を抑えたとされているが、著者は、両者の合意に
より、実城に入ったとする。
御館の乱は、謙信の死後、2カ月後に始まっているが、
突発的な事件を基に、両者が対立することになったと
いう。その背景には、上杉景勝による大名権力の強化
という問題があり、上杉景虎は、国衆に担がれる形で
立ち上がったという。
また、この乱は、上杉家の弱体化と、良好であった武
田・北条同盟を破綻させることとなった。
前記の「天下取りの趨勢から大幅な後退を余儀なくさ
れた」とは、言い過ぎの感があるが、天下統一を目論
む織田家を利した事は間違いない。
本書を読むと、新しい視点で、上杉・北条・武田の各
家をみることが出来て面白い。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史(戦国)
- 感想投稿日 : 2011年11月21日
- 読了日 : 2011年11月21日
- 本棚登録日 : 2011年11月21日
みんなの感想をみる