発表以来各誌で絶賛され続けている、中国系米国人作家の短編集。どこでレビューを読んでも褒めちぎられていて、手に取るにはちょっと気が引けるぐらい(^_^;
取り上げられているテーマは斬新です。いかにもSF的なアイディアを基に、でも描き出すのはそのアイディアの「SFらしさ」よりもむしろそこから派生する日常生活の変容、人間の心の変容。淡々として外連味のない筆致といい、ちょっとグレッグ・イーガンを彷彿とさせます。
が、鴨にとっての読了後の印象は、「えっ、これで終り?」とあっけにとられたのが正直なところ。
好みに合わなかった、と言ってしまえばそれまでなんですが・・・何と言うかこぅ、SF的なアイディアを基に世界設定をして、登場人物を配置して、登場人物の動きや心情を描写して、で、それで?というところで物語が終わってしまうんですよね。その発想は面白いけど、物語としてどうなの?と評価できる一歩手前でカーテンを閉められてしまう感じというか。
SFとしての構成要素は十分満たしていると思います。物語としての完成度を、鴨としてはもっと期待したいです。まだ知られ始めたばかりの作家ですし、これからの作品に期待大!ですね。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF(海外・短編)
- 感想投稿日 : 2016年3月7日
- 読了日 : 2016年2月5日
- 本棚登録日 : 2015年9月10日
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